■デルタ充填とジョンソン・ザルガラー充填(その16)

 このシリーズでは「中川充填」・・・正12面体+立方体+J91の3種類の多面体からなる充填構造を紹介してきた.また,(その15)では「金原充填」・・・菱形30面体+立方体+J91βの3種類の多面体からなる充填構造を紹介した.

 ところで,J91・立方体・正十二面体の3種類の立体による空間充填の双対に相当するのが,α・正八面体・正二十面体による空間充填であるが,正二十面体を含む空間充填では中川タイプ,すなわち,同じ5回回転対称性を有する多面体としての正二十面体+立方体+J91γの3種類の多面体からなる充填構造だって可能になるはずである.今回のコラムでは,J91γを設計してみることにした.

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【1】J91γの計量

 J91の頂点の座標は,

  (±1,±τ,±1),(±τ^2,±1,0),(0,0,±τ)

の14点から構成されるが,J91γではそれぞれ

  (±(τ−τ^2/3),±τ^2/3,±(τ−τ^2/3)),(±τ,±1,0),(0,0,±1/τ)

となる.

 この多面体は正方形2枚,正三角形4枚,正三角形の3等分となる二等辺三角形8枚,1:√(3/5):√(3/5)の二等辺三角形8枚よりなる22面体である.金原博昭さんによる紙模型の写真である.

 充填構造の作り方としては,正20面体をその稜線で接するように格子状に配置し,その隙間を立方体+J91γで埋めていくというものである.

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【2】J91,J91β,J91γの体積

[1]J91の体積

  大立方体:(2τ^2)^3

  小立方体:2^3

  正十二面体:2(15+7√5)

  J91:2(17+9√5)/3

[2]J91βの体積

  大立方体:(2τ^2)^3

  小立方体:2^3

  菱形30面体:20τ^3

  J91β:8+4√5

[3]J91γの体積

  大立方体:(2τ)^3

  小立方体:8(τ−τ^2/3)^3

  正20面体:40(3+√5)/12

  J91γ:2+86√5/81

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【3】雑感

 5回回転対称性を有する多面体には正12面体・菱形30面体・正20面体の他にも切頂20面体,小菱形20・12面体,20・12面体など,いくつか興味ある多面体があるが,この辺で止めておこう.

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