このシリーズでは「中川充填」・・・正12面体+立方体+J91の3種類の多面体からなる充填構造を紹介してきた.充填構造の作り方としては,正12面体をその稜線で接するように格子状に配置し,その隙間を立方体+J91(正五角形4枚,正方形2枚,正三角形8枚よりなる14面体)で埋めていくというものである.
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【1】中川充填から金原充填へ
ところで,金原博昭さんは「空洞構造効果」の観点から菱形30面体を含む空間充填構造を研究されておられる.氏からの受け売りであるが「空洞構造効果」とはロシアのグレベニコフ教授(世界的に有名な昆虫学者)によって発見されたメカニズムで,蜂の巣のような空洞構造によって何らかの不可知なエネルギーが生まれるものだそうだ.たとえば,蜂の巣は菱形12面体の3つの面がそのままで6つの側面がのびて六角柱となり,一端は開口,他端は閉口している形状である.
菱形12面体は一定の辺長をもつ菱形のみでできる多面体であるが,金原さんは同じく一定の辺長をもつ菱形多面体である菱形30面体からも「空洞充填効果」が生ずるのではないかと考え,空洞が連続して空間を埋め尽くす充填構造「金原充填」を考えていたというわけである.菱形12面体は単独で空間を充填する.それに対して,菱形30面体を含む空間充填の方法はまだ見つかっていなかったのであるが「中川充填」を少し変形させると「金原充填」が可能になる.
J91の頂点の座標は,
(±1,±τ,±1),(±τ^2,±1,0),(0,0,±τ)
の14点から構成されるが,(±1,0,0)を加えた16点の多面体J91β(正方形2枚,正三角形8枚,黄金菱形を短い方の対角線で2分した二等辺三角形16枚よりなる26面体)を作る.
「金原充填」の作り方としては,菱形30面体をその菱形面で接するように格子状に配置し,その隙間を立方体+J91βで埋めていくというもので,その並べ方は「中川充填」の場合とまったく同じである.
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