(その10)で紹介した中川宏さんの六角柱パズルを組み換えたところ,五角形ができました.正五角形は平面をタイル貼りしないのですが,現在,凸五角形でタイル貼り可能なものは14種類発見されています.この五角形はタイプ12のタイルの変種のようにみえますが,実はそうではなく,最も長い辺を合わせるように2個接合すると平行6辺形になります(タイプ1).
どんな平行6辺形もタイル貼りできますから,平行6辺形の1/2の五角形タイルは(ホームベース型も含め)無数にあり,珍しいものではありません.そのひとつを中川宏さんが再発見したというわけです.
===================================
【雑感】
サンディエゴの主婦マジョリー・ライスがタイプ10〜タイプ13の4種類の五角形タイルを発見したのであるが,彼女は幼時から数学に対する異常なほどの才能を示したり,あるいは,図形に対する特別な直観力をもち,パズルの類が得意であった学者おばさんというわけではない.彼女の数学の知識は高校までのもので,布地デザインに関心をもっていたが,数学は家で子どもの算数や数学の宿題を手伝ったり,趣味でパズルの本を読む程度の関わりしかなかったそうだ.ふつうのおばさんだって深淵な数学的発見が可能である一つの例となっているのである.
===================================