■4次元正600胞体の木工製作

 4次元正600胞体は胞が4面体で各辺に5つ,各頂点に20の4面体が集まる.中川宏さんによって,作り応えも積み応えもたっぷりの正600胞体の模型が完成した.今回のコラムでは,中川宏さんによる正600胞体の木工製作を取り上げる.

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【1】4次元正600胞体の3次元投影(点心模型)

 正20面体の辺の長さを1,

  a=(√(τ+2))/2=.951057

  b=(√3)/2=.866025

  c=a/τ=(√(3−τ))/2=.587785

  Δ1=1^3,Δ2=1a^2,Δ3=1b^2,Δ4=1c^2,Δ5=abc

とする.1:aは正20面体の頂点間距離:中心頂点間距離,1:bは正12面体の頂点間距離:中心頂点間距離/τとなる.Δ2面,Δ4面,Δ5面は正20面体の辺心図に現れる面の形である.

 中心となる正二十面体の中心と頂点を結ぶと,20個の四面体(ω体=Δ1Δ2^3)の集まりとなる.正二十面体の周りに扁平な四面体(α体=Δ1Δ3^3)を20個を互いに接するように集め,できたくぼみにもっと扁平な四面体(β体=Δ3^4)を30個を入れる.β体は長さ1の対辺が直交する等面四面体である.

 このとき,外形はそれぞれの面の中心が少しへこんだ正12面体状になっていて,そのくぼみに四面体(γ体=Δ2Δ3Δ5^2)を5個ずつ計60個おく.そうすると外形は菱形30面体になって,その菱形のうえにδ体=Δ2Δ4Δ5^2を2個ずつ60個おく.

 そのときにできるくぼみにε体=Δ3Δ4Δ5^2を60個おいて,12・20面体状の稜線ができるようにする.

 このときできる多面体は12・20面体の正三角形面が凹んだようになっていて,そこにζ体=Δ1Δ4^3を20個を積んでいけばζ体のうえにΔ4面20枚,ε体のうえにΔ4面60枚の計80枚の三角形よりなる正20面体群に属する外形ができる(270ピース).

 このΔ4面は退化した正四面体(η体=Δ4)と考えることができる.それらは隙間なく密集し,中心部分にあるものほど大きく実形に近いし,外殻に近づくほど扁平になる.η体は表側と裏側の境界と考えられるから,これで

  表270+境界60+裏270=600

個の正四面体状胞体が集まった正600胞体になる.

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