(その53)ではフルヴィッツ・藤原曲線を回転させて,x軸に関して対称になるように変換したつもりであったが,θは極座標(r,θ)のパラメータではないので,θをθ+3π/2(n−1)で置き換えても回転しない.したがって,二面体群の対称性
D1:F(x^2+y^2,x)
D2:F(x^2+y^2,x^2)
D3:F(x^2+y^2,x(x^2−3y^2))
D4:F(x^2+y^2,x^2y^2)
を利用する方法自体があやしくなってきたといえる.
そこで,畏友・阪本ひろむ氏に検討をお願いしたのだが,
cosθ=±(1−t^2)/(1+t^2)
sinθ=2t/(1+t^2)
と置き換えたあと,グレブナー基底を利用して,フルヴィッツ・藤原曲線の直交座標の式を求める方法がもっとも良いという結論に至った.
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【1】フルヴィッツ・藤原曲線の代数曲線表示
x=(n−1)sin(n−1)θ・cos(θ+3π/2(n−1))−(cos(n−1)θ+(n−1)^2−1)・sin(θ+3π/2(n−1))
y=(n−1)sin(n−1)θ・sin(θ+3π/2(n−1))+(cos(n−1)θ+(n−1)^2−1)・cos(θ+3π/2(n−1))
を展開して三角関数で表現し,tで置き換えて
x=x(cosθ,sinθ)=x(t)
y=y(cosθ,sinθ)=y(t)
とする.
たとえば,n=3の場合,
x=3cosθ/2+cos^2θ/2−3sinθ−3cosθsin^2θ/2
y=3cosθ−3sinθ/2+3cos^2θsinθ−sin^3θ/2
(1+t^2)^3x=−3−3t^2+16t^3+3t4+3t^6
(1+t^2)^3y=2(−1+3t+3t^2+6t^3−3t^4+3t^5+t^6)
このあと,グレブナー基底を利用すると直交座標の式
−4096+768x^2−21x^4+x^6−108x^3y+768y^2+66x^2y^2+3x^4y^2−108xy^3−21y^4+3x^2y^4+y^6=0
が求められる(6次式).
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n=4の場合は結果だけを記すが,8次式
−182284263+4960116x^2−151632x^3−32562x^4+4320x^5+36x^6−16x^7+x^8+4960116y^2+454896xy^2−65124x^2y^2−8640x^3y^2−468x^4y^2+16x^5y^2+4x^6y^2−32562y^4−12960xy^4+496x^2y^4+80x^3y^4+6x^4y^4−28y^6+48xy^6+4x^2y^6+y^8=0
以下,式が長くなるので割愛するが,フルヴィッツ・藤原曲線は2n次式になることが確かめられている(Mathematicaを援用によってもn=3からn=8までであるが・・・).
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