正二十面体の各頂点の周りには5つの頂点があるが,それらを頂点とする5角形の膜を張る.このことを12個の頂点でやると五角形同士があちこちで交わる.これがポアンソの大十二面体(great dodecahedron:GD)である.正十二面体の1辺の長さをxとおくと,この五角形の膜の各辺は正十二面体の面の対角線であるから,1辺の長さはφxである.
正二十面体の各面の周りには隣接する正三角面の3つの頂点があるが,それらを頂点とする3角形の膜を張る.このことを20個の頂点でやると三角形同士があちこちで交わる.これがポアンソの大二十面体(great icosahedron:GI)である.正二十面体の1辺の長さをxとおくと,このときも三角形の膜の各辺の長さはφxである.
GDではオイラーの多面体公式:v−e+f=2は成立しないが,GIではこの公式が当てはまる(実はGDは穴あき多面体になっている).ポアンソはほぼ同時代の同じフランスの数学者ポアソンと混同しないように注意されたい.
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【1】木工模型を作る
正二十面体の五角錘の頂上部を押し込んでくぼませると凹デルタ20面体ができる.佐竹正雄さん製作による凹デルタ20面体の写真を掲げる.
凹面に朝顔型の帽子を貼り付けたものが大二十面体となるのだが,まず芯となる正五角錘様部材を12個貼り合わせる.
次に,朝顔型の帽子のひだになる部材を60個用意して貼り付けるという工程になるものと思われるが,とにかく厄介な星型正多面体である.
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【2】大二十面体の計量
正二十面体のもとの立方体の1辺の長さを2,もとの立方体表面に残る1本の稜の長さを2dとします(0≦d≦1).このとき,
d=(√5−1)/2
で,三角面の頂点の座標は
A(0,1,d)
B(−d,0,1)
C(d,0,1)
と表されます.
点Aに集まるひだによってくぼんだ三角錐ができますが,その交点の座標を計算すると,
P(0,d^3,d)
Q(−d^2,d^2,d^2)
R(−(5−2√5)/5,(5−√5)/10,(−5+3√5)/5)
また,凹デルタ20面体のすり鉢の中心は
S(0,d^3,d^4)
すり鉢の辺と芯ひだ境界との交点は
T(0,d^3,(−15+7√5)/2)
と計算されます.これらの座標をもとにして,工作に必要な数値をはじきだします.
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