■佐竹正雄の木工多面体

 現在,中川宏さんは視覚障害者用の木工多面体製作を続けている.中川さんは廃材から面を切り落とすことによって中身の詰まったソリッドな多面体模型を製作しているのだが,ソリッドモデルでは大きな多面体を作れない欠点があり,もっぱら小型の木工多面体ということになる.

 大型の木工多面体になるとお手上げだったが,中川さんの前に救世主が現れて,視覚障害者用の木工多面体製作を手助けしてくださることになった.千葉県松戸市在住の佐竹正雄さんである.佐竹さんの製作する木工多面体は貼り合わせによるものである.貼り合わせ模型は技術的に難しいと思われるのだが,佐竹さんは桐の箪笥職人に弟子入りして修行された本格派だそうである.

 以下に佐竹作品集を掲げるが,桐の木を使ったケプラーパターンなどに多面体指物の世界をみることができるだろう.

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【雑感】

 中川宏さんは以前製材会社に勤務されていたので,自然に廃材を利用した木工の道に進まれたのだが,彼の先達はあまり見あたらないように見える.中川さんが誰に木工多面体製作を教わったかとといえば,結局,ほとんど独学だったと思うのである.

 お二人の作品を較べてみると,中川さんが廃材を利用したソリッドモデル,佐竹さんが桐の木を使ったフレームモデルとまったく対照的だが,お互いの長所を活かし短所を補い合いながら,今後とも木工多面体教材の製作に尽力されることを願っている.

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