正二十面体は20個の面すべてが正三角形でできているが,ひとつの頂点を押し込んで5枚の正三角形をくぼませることができる.これは正二十面体の(星形化)異性体である.各稜が山折りか谷折りかのどちらであるか,つまり凸性を記述しないと多面体を一意に決定することはできない.
このシリーズでは,菱形十二面体の白銀菱形を黄金菱形で,菱形三十面体の黄金菱形を白銀菱形で置き換えることを行ってきたが,対角線で折り曲げる方向(mountain fold, valley fold)から
(1)黄金菱形を長軸で山折りにしたm24面体
(2)黄金菱形を短軸で谷折りにしたv24面体
(3)白銀菱形を長軸で谷折りにしたv60面体
(4)白銀菱形を短軸で山折りにしたm60面体
の計4種類ができた.
そして,おもしろいことに対角線の長軸方向で折り曲げられた2つの多面体(1)(3)において,m24面体の凸部はv60面体の凹部にはぴったりはまりこむことがわかった.
次に検討すべきことは
(1)黄金菱形を長軸で谷折りにしたv24面体
(2)黄金菱形を短軸で山折りにしたm24面体
(3)白銀菱形を長軸で山折りにしたm60面体
(4)白銀菱形を短軸で谷折りにしたv60面体
であろう.
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【1】異性体
[1]黄金菱形を長軸で谷折りにしたv24面体
→存在せず(長軸で山折りする場合は2つの解が得られるが,谷折り解は存在しない).
[2]黄金菱形を短軸で山折りにしたm24面体
→存在せず(くぼんだ頂点同士が重なり合ってしまう).
[3]白銀菱形を長軸で山折りにしたm60面体
→存在する
[4]白銀菱形を短軸で谷折りにしたv60面体
→存在せず(短軸で山折りする場合は2つの解が得られるが,谷折り解は存在しない).
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【2】まとめ
[3]のみが存在しうるが,二面角が一致する相手が存在しないので,おもしろい現象は起こらないだろうと思われる.
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