■良い配置(その3)
全体を近似するよい部分集合を求めというのがデザイン理論の本質である.である.
ところで,各直線上にn+1個ずつの点があるのが「有限アフィン平面」で,nが素数または素数の累乗のとき有限アフィン平面は存在します.そして,有限アフィン平面の存在は,n−1組の互いに直交するラテン方陣の存在と同値であって,この逆も成り立ちます.すなわち
『n次の有限アフィン平面の存在←→(n−1)個の互いに直交するラテン方陣の存在』
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1本の直線上にn個の点があるアフィン平面をn次のアフィン平面と呼びます.有限アフィン平面Fq×Fqは
{(x,y)|ax+by=c,a,b,c,x,yはFqに属する}
で定義されるものです.
n次のアフィン平面では1点を通る直線はn+1本で,n^2個の点がありますから,全部で
n^2(n+1)/n=n(n+1)
本の直線があります.
最も簡単な有限アフィン平面はZ2×Z2で,4個の点を四面体状に結んだものです.また,n次のアフィン平面上では平行な直線はn本あり,平行な直線同士を集めた組がn+1組あります.
F>4×F4の場合,a=b=0ではない(a,b,c)の組は4^3−4=60通りあり,このうち3組ずつが同じ直線を表しますから,直線の数は全部で20本です.そのうち,(a,b,c)=(1,1,0)の直線l9は(x,y)=(0,0),(1,1),(z,z),(z+1,z+1)を通ります.
0+0=0
1+1=2=0
z+z=2z=0
z+1+z+1=2z+2=0+0=0
また,(a,b,c)=(1,1,1),(1,1,z),(1,1,z+1)の直線l10,l11,l12はl9と(a,b)が同じでcが異なりますから平行です.このように,F4×F4には互いに平行な直線が4本ずつ5組あります.
ここで,
L0=l9,L1=l10,L2=l11,L3=l12
とおいて,
L0が(i,j)を通るとき升目に0を入れる
→L1が(i,j)を通るとき升目に1を入れる
→L2が(i,j)を通るとき升目に2を入れる
→L3が(i,j)を通るとき升目に3を入れる
を繰り返すと,ラテン方陣
× 0 1 z z+1
0 0 1 2 3
1 1 0 3 2
z 2 3 0 1
z+1 3 2 1 0
が得られます.
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別のセット(L0,L1,L2,L3)=(l17,l18,l19,l20)からも同様に,ラテン方陣
× 0 1 z z+1
0 0 1 2 3
1 3 2 1 0
z 1 0 3 2
z+1 2 3 0 1
が得られるのですが,この2つのラテン方陣は直交していて,これらを組み合わせると,グレコ・ラテン方陣になります.
[0,1,2,3] [0,1,2,3] [00,11,22,33]
[1,0,3,2]+[3,2,1,0]=[13,02,31,20]
[2,3,0,1] [1,0,3,2] [21,30,03,12]
[3,2,1,0] [2,3,0,1] [32,23,10,01]
この2つのラテン方陣はたまたま都合よく直交していたのではなく,n次のアフィン平面があれば,互いに直交するn−1個のラテン方陣が存在することが証明されています.
そして,4進数を10進数に直すと4次の魔方陣となります.
[00,11,22,33] [ 0, 5,10,15]
[13,02,31,20]=[ 7, 2,13, 8]
[21,30,03,12] [ 9,12, 3, 6]
[32,23,10,01] [14,11, 4, 1]
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