■デルタ充填とジョンソン・ザルガラー充填(その9)

 デルタ多面体による空間充填は正四面体と正八面体の組み合わせがよく知られているが,空間充填状態から正四面体を取り除くと,正八面体は辺同士で連結しているので,自らを貫通する通路をもっていないし,空間を二分するスポンジ型多面体になっていないことがわかる.

 そこで,正八面体を立方格子の体心において,さらに8つの頂点に正八面体,体心と頂点をつなぐ位置にも正八面体をおく.体心にある正八面体の8つの面に正八面体の側面を連結させると,正八面体の頂点の周りに正八面体が4つずつ集まることになる.これをユニットとして並べると正八面体のみによるスポンジ型多面体ができる.

 これは(その4)で検討したスポンジ型多面体の正20面体を正八面体で置き換えて得られるものである.残念ながら,ポリドロンではジョイントの可動域の関係でこの多面体を組み立てることはできなかったが,今回のコラムではこの隙間の体積を求めてみることにしたい.

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 1辺の長さが1のとき,正八面体の体積はV8=√2/3,また,面間距離は

   √2/√3

であるから,立方格子の1辺の長さは

   4√2/3

 隙間は6つの面心あるいは12の辺心にあるから,隙間3個分の体積は

  3V=(4√2)^3/3^3−10V8

    =166√2/27

 なお,1辺の長さが1のとき,正8面体の頂点座標を

  (0,0,1/√2)=(0,0,a)

の巡回置換で表すことにする.また,立方格子の1辺の長さの1/2を

   2√2/3=b

とおくことにすると,隙間の頂点座標はa,bをパラメータとして簡単にパラメトライズすることができる.

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