■ルービック・キューブと神の数(その4)

 ルービック・キューブは1980年から1981年にかけて世界中で大流行した.それでは3×3×3のルービック・キューブではいったいいくつの色の組み合わせが作れるだろうか?

 12!×2^12×8!×3^8通り.しかし,これはルービック・キューブを分解したときの話であって,面の回転だけで実現可能な色の組み合わせの総数は12!×2^12×8!×3^8/12通りになる.

 パズル史上最大のヒットとなったルービックキューブは26個の小さな立方体を3×3×3に並べたもので,6色が6面に割り振られている.ルービックキューブの配置は約43×10^18(4325京)通りある.

 これは70億の人間一人一人が1秒に1通りの配置を作ったとしても,すべての配置を作るのに200年かかる計算になる.

===================================

【1】神の数

 いかなる配置もn手以下で解けるという最小手数はいくつかという数学問題があり,この問題の解は「神の数」と呼ばれるようになった.そう呼ばれているのは,人間ごときにははじき出せないように思えたからであろう.

 2010年7月,トマス・ロキッキは「神の数」が20であることを証明した.ルービックキューブのいかなる配置も20手以下で解けるのである.ロキッキは195億通りの配置を調べ神の数が22以下であることを突き止めたが,彼は神の数が20であることを確信し,いくつか巧妙なの数学的手法とコンピュータの力業の組み合わせによって解いたのである.

===================================

 ほんの少し前まで,これほど膨大な場合についてすべて検証するという証明方法は実現不可能であった.しかし,この証明をコンピュータを使わずにたどることは不可能である.その計算には同時に何台ものコンピュータが使われたが,もし1台でやっていたら350年かかったであろうといわれている.

 ルービックキューブのいかなる配置も20手以下で解けるのであるが,とりわけ進展が速かったのはコンピュータの勝利?,それとも数学の勝利になるのだろうか?

===================================