1966年,ザルガラーは正多角面体(すべての面が正多角形である凸多面体)は正多面体,準正多面体を除くと92種類存在することをコンピュータを使うことによってその証明を与えました.
92種類のザルガラー多面体の面は正3角形,正4角形,正5角形,正6角形,正8角形,正10角形のいずれかなのですが,「ポリドロン」には辺の長さの等しい正3角形,正4角形,正5角形,正6角形のユニットがしかなく,正8角形,正10角形を含むザルガラー多面体を作ることはできません.正8角形,正10角形のユニットは大きくなりすぎるというのが開発されていない理由でしょうが,正8角形,正10角形はザルガラー多面体の切り口としてのみ存在するというのも理由のひとつでしょう.
ところで,どうして92種類,正10角形までしかないのでしょうか? コンピュータによりしらみつぶしに探索されたといってしまえばそれまでですが,釈然としないものが残りますし,そのあたりが数学を素人から遠ざけている理由なのかもしれません.
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【1】93番目のジョンソン・ザルガラー多面体?
ザルガラーの証明では凹面や曲面を排除するのがいかに大変だったかが容易に推測されます.たとえば,中川宏さん考案の多面体の場合を見ていくことにしましょう.
[1]正面
[2]側面
[3]上面
[4]底面
底から第1層(青),第2層(黄),第3層(赤),第4層(緑)としますが,
第1層 3^124^1
第2層 3^85^6
第3層 3^18
第4層 3^45^2
計 3^424^15^8
の多面体について,これが凸多面体なのか凹面や曲面をもつ多面体なのかを示すことは決してやさしくありません.
模型はいくぶんゆがんだ形になりますし,第1層と第3層の正三角形からなる帯の部分は関節の自由度が大きく,多少の変形を緩衝することができるからです.この多面体が詐欺多面体だとすると,第3層にある2つの正三角形の間の二面角が平角になっているのではないかと思われますが,それを証明することができません.
読者はまずこのモデルを構成してみるとよいでしょう.「ポリドロン」は東京書籍がその取り扱い店となっています.
連絡先:tel:03-5390-7513,fax:03-5390-7409(大山茂樹)
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