ジョンソン・ザルガラー多面体の多くは,正多角面体を互いにつなぎ合わせることで作ることができる.ジョンソンは正多角面体に分けることができない分解不可能な多面体を基本多面体と呼んだ.プラトン立体とアルキメデス立体の破片体以外の基本多面体は8個あるが,今回のコラムではN91,N92の他の6個を紹介することにする.
中川宏さんにジョンソン・ザルガラー多面体の木工製作にチャレンジしてもらうことになったのだが,N91,N92は平行な面をもつため,木工法でも何とか作ることができるが,他のは超難問であって,結論を先にいうとN84だけが完成した.
ジョンソン・ザルガラー多面体(正多角面体)は面は正則(正多角形)ではあっても,頂点は等価(すべての頂点の周りが一定)ではない.頂点の等価性を犠牲にして面の正則性にこだわった正多角面体に対して,木工は余りむいていないかもしれない.
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【1】広底長球形屋根(N89=M21)
14個の頂点と18枚の正三角形,2枚の正方形からなる分解不可能なザルガラー多面体である.
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【2】球形屋根(N86=M22)
10個の頂点と12枚の正三角形,2枚の正方形からなる分解不可能なザルガラー多面体である.
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【3】球形屋根(N88=M23)
12個の頂点と16枚の正三角形,2枚の正方形からなる分解不可能なザルガラー多面体である.
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【4】五角錘球形屋根(N90=M24)
16個の頂点と20枚の正三角形,4枚の正方形からなる分解不可能なザルガラー多面体である.
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【5】変形双五角錘(N84=M25)
8個の頂点と12枚の正三角形からなる分解不可能なザルガラー多面体で,双子の正十二面体とも呼ばれるデルタ多面体である.
木工的には一体型でなく組み合わせ型で作る方が面白味があり,四面体を6個を組み合わせることにしたのだが,意外なことが判明した.6個の表面は繋がるのだが,あいだに空洞ができてしまうのである.写真中央が7個目の四面体である(6+1).
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【6】変形四角反柱(N85=M28)
16個の頂点と24枚の正三角形,2枚の正方形からなる分解不可能なザルガラー多面体である.
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