すべての面が正三角形で構成されている立体をデルタ多面体(正三角面体)といいます.結論を先にいうと,正3角形ばかりを集めると4面体から20面体まで,18面体以外の8種類すべての偶数多面体ができあがります.
そのうち,正4面体,正8面体,正20面体は正多面体にも分類されるのですが,デルタ多面体はそれらを含めて全部で8種類あることがわかりました.逆にいうと,もし多面体の各面が正三角形ならば8つの多面体の中のどれかひとつであるということになります.
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【1】デルタ12面体の設計
デルタ12面体とは12枚の正三角形からなる双子の正十二面体とも呼ばれる多面体である.まず,コラム「変形するデルタ20面体に対する疑義」を参考にしてデルタ12面体を設計してみることにする.
ここでは,1辺の長さを1とする重三角錐(デルタ6面体)の高さhを求めてみることにする.ピタゴラスの定理を使えば中高生でも簡単に確かめることができると思われるが,
1/(3−h^2)^(1/2)=tan60°=√3
より
h=√(8/3)=1.63299
となった.
重三角錐に1本の切れ込みを入れると,口の開いた重三角錐が得られる.一方の開口重三角錐の高さhから開口の大きさwを求める.式はピタゴラスの定理から簡単に求められ,
w=f(h)=(4−h^2)^1/2sin(3arctan(3−h^2)^-1/2)
これは他方の開口重五角錐の高さとなるから,
h=g(w)=(4−w^2)^1/2sin(3arctan(3−w^2)^-1/2)
ここで,2つの開口重五角錐が歪みなしに接合できるための条件は
h=g(f(h)) h:0〜1.63299
である.y=x,y=g(f(x))の交点を求めてみると,
x=1.28917
が近似解となる.
開口重三角錐2個,すなわち,合同な4面体6個の組み合わせでデルタ12面体ができあがる.
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【2】アルキメデスの反角柱の設計
正n角柱を正n角形の中心を結ぶ軸に対してπ/nだけねじって頂点同士を直線で結びます.そして側面が2n枚の正三角形になるように高さを調節するとアルキメデス反角柱ができあがります.アルキメデスの正角柱(上下の底面が正多角形で,側面がすべて正方形であるもの)を少しひねって,側面をすべて正三角形にしたものをアルキメデスの反角柱と呼びます.
これらは準正多面体群に含めて扱われることがあります.側面が6個の正三角形からなる三角反柱は正八面体そのものです.また,正20面体は側面が10個の正三角形からなる五角反柱(胴)の上下の面に正五角錐(蓋と底)をつけると構成することができます.
アルキメデスの正n反柱の高さの値Hの求め方は読者の演習問題として残しておきますが,1辺の長さが1であるとき,
H={1−1/(2cosπ/2n)^2}^(1/2)
また,正n角形面と正三角形面の二面角は
arccos(2H/√3)+π/2
で与えられます.
n 高さ 二面角
3 .816497 109.471
4 .840896 103.836
5 .850651 100.812
6 .8556 98.8994
7 .858473 97.5722
8 .860296 96.5946
9 .861526 95.843
10 .862397 95.2466
以下に,中川宏さん作による木工模型を掲げます.
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【3】正n角錐の設計
[1]にもでてきましたが,1辺の長さを1とする正n角錐の高さHを求めてみることにします.h=2Hですから,
1/(3−4H^2)^(1/2)=tan(π/n)
また,正n角形面と正三角形面の二面角は
arctan(2H/(3−4H^2)^(1/2))=arctan(2Htan(π/n))
で与えられます.
n 高さ 二面角
3 .816496 70.5288
4 .707106 54.7356
5 .52573 37.3773
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