■ペンタグラフェン(正五角形による空間タイリング)
昨夕,東北大学の川添良幸研究室を訪問.面白い形の3Dプリンタ模型を拝見させていただきました.正五角形面で構成された空間格子です.
正三角形、正方形,正六角形とは違って,正五角形はどうやっても平面を埋めつくすことはできません.正五角形でなければ,カイロの石畳として知られるカイロタイリングが有名ですが,それは平行六辺形を不等辺五角形に4分割したものであって,本質的な五角形タイリングとは異なります.
正五角形12枚で構成される正12面体は美しい形ですが,空間充填することは不可能です.そのため,たとえ正五角形を立体的に組み合わせたとしても空間構造体を形成することは困難と思いこんでしまった,そして思い込みが邪魔して思考停止(Denkhemmung)してしまった節があるのですが,その反例が見つかったというわけです.
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炭素でできた構造体としてはグラファイト,ダイヤモンド,フラーレン,カーボンナノチューブなどがあります.
グラファイトは炭素の六員環からなる1層の構造体をとりますが,ペンタグラフェンは五員環からなる積層構造体(薄膜)となります.それをある方向から眺めるとカイロタイリングのように見えます.
炭素の第5の形ともいえるわけですが,まだ実在していない仮想的な物質です.しかし,シミュレーションによって,これまでの物質にはないさまざまな性質
[1]負のポアソン比:通常の物質では横方向に引っ張ると横方向に伸び,縦方向には縮みますが,ペンタグラフェンでは縦方向にも伸びる.
[2]透明な半導体
などが予言されています.
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