■ラマヌジャンの和(その4)

 (その2)では,ラマヌジャンのクイズ

  √(1+a√(1+(a+1)√(1+(a+2)√(1+・・・))))

を取り上げた.

  f(x)=√(1+x√(1+(x+1)√(1+(x+2)√(1+・・・))))

とおくと,

  √(1+xf(x+1))=f(x)

  f(x)^2=1+xf(x+1)

より,すべてのxに対して

  f(x)=x+1

で与えられる.x=2ならば答えは3,x=10^45ならば答えは10^45+1となるというわけである.

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【1】分割数とラマヌジャンの合同式

 ラマヌジャンは分割数p(n)が満たす合同式について,披整除性

  p(5n+4)=0  mod5

  p(7n+5)=0  mod7

  p(11n+6)=0  mod11

  p(599)=0  mod5^3

  p(721)=0  mod11^2

を予想し,それらを証明しています.

 5や7や11のような素数がなぜこのような合同式を生み出すかについては未だに謎とされています.

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【2】分割数の合同式

 分割数で成り立つ別の合同式としては,2000年に数学者ケン・オノが発見した

  p(54^4×13n+111247)=0  mod13

があります.驚いたことに,彼は無限個の合同式があることも証明したのです.

 その後,ウィーバーが発見した式は次のようなものです.

  p(11864749n+56062)=0  mod13

  p(14375n+3474)=0  mod23

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【3】雑感

 ラマヌジャンの発見

  p(5n+4)=0  mod5

  p(7n+5)=0  mod7

  p(11n+6)=0  mod11

の後,研究者たちは分割数の同様の性質を見つけようとしたが,2000年になるまですべて失敗に終わった.

 コラム「正多角形の対角線の交点数」で紹介した問題も一見単純そうにみえるのであるが,3本以上の対角線が1点で交わる場合を考慮しなければならないので,古くから難問として知られていたそうである.多くの試行錯誤がなされたが,すべて失敗に終わり,1990年のPoonenとRubinsteinまで正しい公式は見つけられなかったのである.

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