■連分数の測度論(その34)
【1】ヒンチンの定理
次にanの幾何平均値を求めてみます.
1935年,ヒンチンは一般の連分数
[a0:a1,a2,a3,・・・,an,・・・]
の大多数についてあてはまる法則を発見しています.
ヒンチンの定理とは,幾何平均(a1a2・・・an)^1/nの値がn→∞のとき,ある無限乗積から定まる定数
(a1a2・・・an)^1/n→Π(1+1/k(k+2))^logk/log2=2.685452001・・・
に収束するというものです.κ=2.68545・・・はヒンチンの定数として知られています.
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【2】レヴィの定理
実数xのn項までの連分数展開pn/qnとする.レヴィは,ほとんどすべての実数に対して,近似分数の分母が
(qn)^1/n→exp(π^2/12log2)=3.27582292・・
になることを示しました.
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【3】まとめ
ヒンチンの定理は,連分数の測度論,すなわち,その部分商がaになる確率は
log2(1+1/a)−log2(1+1/(a+1))
=log2((a+1)^2/((a+1)^2−1))
からのアプローチです.
また,ユークリッドの互除法は連分数と関連していて,レヴィの定理はそのアルゴリズムの効率解析からのアプローチのようです.
(その28)において,両者がほぼ一致することを示しました.
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