■素数を表す公式・表さない公式

 オイラーの仕事のひとつに素数生成式があります.素数をかなりの確率で生成する公式,その値の多くが素数となる式です.たとえば,オイラーの2次式:

  f(x)=x^2+x+41

はx=0〜39に対して素数を与えます.オイラーの公式はx=40で1681=41^2となって破綻しますが,以下,x=42,43,45,46,47,48,50,51,52,53,・・・,1000万以下のxに対して47.5%の確率で素数を生成します.

 1変数の2次多項式ではx^2+x+17や2x^2+29なども高い確率で素数を生成します.他にも素数をよく生成する式が昔から知られていて

  ルビーの2次式:f(x)=|36x^2−810x+2753|  (x=0〜44)

  フロベニウスの2次式:f(x)=2x^2+2x+19

  4x^2+170x+1847

  4x^2+4x+59

などがあげられます.

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 オイラーの公式x^2+x+41のxをx−1に変換すればx^2−x+41,x−40に変換すればx^2−79x+1601が与えられます.x^2−x+c型では,逆に,ほとんど素数にならない式も見つけられています.

 十分大きい値xに対して,素数密度は0に近づきますから,cの大きさを制限しなければこの問題は無意味になります.そこで,1万以下のxに限定しますが,x^2−x+c型ではc=219525のとき,すなわち,

  f(x)=x^2−x+219525

の素数密度は2.33%だそうです.

 素数定理

  π(x)〜x/logx   (x→∞)

より,1万以下のxに対しての素数密度はおよそ

  1/log10^4=10.86%

ですから,x^2−x+219525が素数になりにくいことがおわかりいただけるでしょう.

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【補】素数定理

  π(x)〜x/logx   (x→∞)

はxを超えない素数の個数π(x)を与える近似的な公式であって,xに近い2つの連続した素数間の平均距離はおよそlogx,あるいは,ランダムにとった整数xが素数である確率がおよそ1/logxだといってもよいでしょう.

 また,n番目の素数pnについての漸近評価

  pn〜nlogn

とも等価です.これをもっと精密に評価すると

  pn=n(logn+loglogn−1)+o(nloglogn/logn)

になります.

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