■完全無欠の擬似素数(その8)
カーマイケル数は少なくとも3つの素因数をもつ.それに対して,もしも,奇数の完全数が存在するならば,
[1]奇数の完全数は平方数に奇数をひとつかけたものである.
[2]奇数の完全数を
p^aq^br^c・・・
とすると,p,q,r,・・・は4n+1型素数で,a,b,cが偶数出なければならない.
[3]少なくとも8個の素因数をもつ.
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オイラーは奇数の完全数が存在するならば
N=p^(4k+1)s^2
pはsを割らない4m+1型素数
であることを証明した.
s=q^ar^b・・・という異なる素数の積の形に書いてみれば
s^2=q^2ar^2b・・・
N=p^(4k+1)q^2ar^2b・・・
Nを奇数の完全数と仮定すると
σ(N)=σ(p^(4k+1))σ(q^2a)σ(r^2b)・・・=2N
したがって,
[1]σ(N)の奇数の約数はNのの約数(逆も真)
[2]σ(N)は2でわりきれるが,2^k (k>1)ではわりきれない.
pを4m+1型の特別の因数として,10^4より小さな奇数の完全数はないことを証明してみましょう.たとえば,p=13とすると,σ(13)は2Nを割り切る.しかし,
σ(13)=14=2・7
より,7はNを割り切ることになる.しかし,7は特別な因数ではない(q,r,・・・の仲間である)ので,7^2とか7^4がNの成分になる.
7^2がNの成分なら
σ(7^2)=1+7+49=57
がNを割り切る.しかし,
σ(7^2)=57=3・19
より,19はNを割り切ることになる.しかし,19は4m+1型の特別な因数ではない(q,r,・・・の仲間である)ので,19^2とか19^4がNの成分になる.同じ理由で3^2とか3ー4がNの成分になる.
これらを繰り返しにより,Nは
13・3^2・7^2・13^2>10^4
の倍数となるから,10^4より小さな奇数の完全数はないことが証明される.
Nに対して,10^4より小さい5000の奇数を検討することなしに,わずかの事例だけで,この結果に達することができるのである.
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