■ペル恒等式(その25)
【1】ブラーマグプタの恒等式
(x1^2−Ny1^2)(x2^2−Ny2^2)=(x1x2+Ny1y2)^2−N(x1y2+x2y1)^2
1={(z^2+N)/(z^2−N)}^2−N(2z/(z^2−N))^2
【2】Speckmann-Ricaldeの恒等式
(k^2m±1)^2−(k^2m^2±2m)k^2=1
[M+] (k^2m+1)^2−(k^2m^2+2m)k^2=1
[M−] (k^2m−1)^2−(k^2m^2−2m)k^2=1
との対応がわかったので,次は,・・・
===================================
【3】2平方恒等式(ブラーマグプタ・フィボナッチの恒等式)
複素数x=a+biの絶対値は|x|^2 =a^2 +b^2 =(a+bi)(a−bi)で与えられますが,ここで,数の体系に「積のベクトルの大きさはベクトルの大きさの積に等しい」という条件が要請されているとしましょう.
複素数x=a+biとy=c+diの積
xy=(a+bi)(c+di)=(ac−bd)+(ad+bc)i
は同じ空間内のベクトルとして表されますが,
(a^2 +b^2 )(c^2 +d^2 )=(ac−bd)^2 +(ad+bc)^2
より,|x|・|y|=|xy|が満たされていることがわかります.
フィボナッチの等式としてよく知られている恒等式
(a^2 +b^2 )(c^2 +d^2 )=(ac−bd)^2 +(ad+bc)^2
は簡単に確認できます.この公式は2つの整数がともに平方数の和の形をしているなら,その2数の積も平方数で表されることを示していて,複素数と2平方和問題との関連を示しています.
===================================