■数とあそぶ(その37)
[1]eとπの連分数展開
超越数eの連分数展開は,
e=[2;1,2,1,1,4,1,1,6,1,1,8,1,1,10,1,1,12,1,1,14,1,1,16,・・・]
と書け,数字の出方が自然数順になっていることがわかります.すなわち,2次の無理数のように規則的になっているわけですが,eのように超幾何関数の特殊値は3次の無理数よりも,2次の無理数に近いということなのでしょうか?
eもπも超越数ですが,しかし,πの連分数展開
π=[3;7,15,1,292,1,1,1,2,1,3,1,14,2,1,1,2,2,2,2,1,84,2,1,1,15,3,13,1,4,2,6,6,99,1,2,2,6,3,5,1,1,6,・・・]
にはなんの規則性も見あたらないようにみえます.πに現れる数字0〜9については,重複対数の法則と呼ばれるランダムウォークに基づく非常に厳しいランダムネス検定にも十分合格することが確かめられています.πには少なくとも何進法かの表現の下でなにか隠された未発見の規則性があるに違いないと信じている人もいますが,現在のところ,πは最も複雑な数なのです.
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[2]虚2次体Q(√d)の単数
d<0のとき,
d=−1 → 4個の単数
d=−3 → 6個の単数
なのですが,
d≠−1,−3 → 2個の単数{±1}
となります.
すなわち,Q(√d)の場合,
(1)d>0ならば{±1}
(2)d<0のとき
a)d=−1ならば{±1,±i}
b)d=−3ならば{±1,±ρ,±ρ^2}
c)d≠−1,−3ならば{±1}
(証明)
(1)d>0ならばα^n=1なるαは±1しかない.
(2)d<0のとき
α^2−(α+α~)α+αα~=0
という関係を満足し,|α|=1だから,x^2+bx+1=0(bは整数)の根
α=(−b+√(b^2−4))/2
になる.
b^2=4はα=±1を与えるからb^2≠4とする.また,b^2−4=c^2と平方数になる場合は(b+c)(b−c)=4より,
b+c=4,b−c=1
これは明らかに不可能.したがって,d<0よりb^2−4<0でなければならない.
よって,b=0またはb=1またはb=−1の可能性がある.
b=0→{±i}
b=1→{±ρ}
b=−1→{±ρ^2}
なお,円分体
Q(ζ),ζ=exp(2πi/d)
の単数は
{±1,±ζ,±ζ^2,・・・,±ζ^(d-1)}
の2d個の元からなります.
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