■高次元図形の理解のために(その8)

 理論物理学において,リー群は自然な枠組みを与えてくれる.ハイゼンベルク群(量子力学),ゲージ群(素粒子論の標準モデル)などはその例である.

 ゲージ群は1種類の光子,3種類の弱ボゾン,8種類のグルーオンを扱う12次元の群である.

 E8格子は

[1]座標成分がすべて整数か(112点),すべて整数1/2か(128点)のいずれか

[2]座標成分の和は偶数

[3]座標成分の平方の和は2に等しい(原点からの距離が√2)

の240個の8次元ベクトル(ルートと呼ばれる)の集まりである.

 ベクトル(1,0,0,−1,0,0,0,0)や(1/2,1/2,−1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,−1/2)はルートの1例であるが,E8格子には全部で240個(112+128)のルートがある.また,このルートから構成される格子は,高次元のダイアモンド格子で,胞体の体積は1(ユニモジュラー)になる.

 そして,リー群E8の次元は240個のルートと,それぞれのルートの自由度8の和で,248次元となります.その既約表現は453060個あり,既約表現の間の関係は453060×453060の行列として書き下される.

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 私たちのいる空間は26次元であるというのがひも理論であるが,それを(時間を加えた)4次元までに減らすためには,16次元空間をうまく丸め込まなければならない.これを数学的に行うのにEがうまく役立つのである.

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