■合同数の話(その5)
x^2−n=y^2,x^2+n=z^2を同時に満たす有理数x,y,zが存在するような整数nを合同数とよぶ.
言い換えると,面積が1,2,3,4となる3辺が有理数である直角三角形は存在しないのである.最小の合同数は直角三角形(3/2,20/3,41/6)の面積5である.
===================================
【1】フィボナッチの合同数
x^2−5=y^2,x^2+5=z^2
すなわち,ある有理数の平方に5を引いても5を足しても平方数となる有理数を見つけよという問題に,フィボナッチは解x=41/12を与えた.
(41/12)^2−5=(31/12)^2
(41/12)^2+5=(49/12)^2
フィボナッチの等式としてよく知られている恒等式
(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac−bd)^2+(ad+bc)^2
立方数の和と和の平方は等しい
Σk^3={n(n+1)/2}^2
も,フィボナッチに帰されるが,合同数により彼は有名になったといわれている.
===================================
[A]ピタゴラスの三角形(a,b,c)を考える.
a^2+b^2=c^2
c^2+2ab=(a+b)^2
c^2−2ab=(a−b)^2
したがって,2ab=5k^2となる(a,b,c,k)を探せばよい.または
a=m^2−n^2,b=2mn,c=m^2+n^2
となるので,
2(m^2−n^2)(2mn)=5k^2
となる(m,n,k)を探せばよい.
n=1として,m=2→3→4→・・・を代入すると
(m,n,k)=(9,1,24)
(a,b,c,k)=(80,18,82,24)
これより,答えのひとつはc/k=82/24=41/12
===================================
x=41/12の次の解は
x=11183412792921/2234116132416
となる.
===================================