■フルヴィッツ・ボレルの定理(その8)
【1】一様離散性
無理数√2と任意の有理数a/bの間には「隙間」があることを示しておきたい.
a,bを正の整数と仮定する.2で割っていくと,2b^2は奇数回割り切ることができるが,a^2は偶数回しか割れない.このことから,a^2≠2b^2
|2b^2−a^2|≧1
が成り立つ.
したがって,
|√2−a/b|=|2b^2−a^2|/b^2(√2+a/b)≧1/b^2(√2+a/b)
一般に,
|α−a/b|=|α^2b^2−a^2|/b^2(α+a/b)≧1/b^2(α+a/b)
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【2】相対稠密性
一方,ディリクレの近似定理によると,無理数αの近似分数をa/bとすると,
|α−a/b|<1/2b^2
を満たすような無限個の分数a/bが存在する.
この定数2をさらに大きくしても,無限の回があることを保証できるだろうか?
フルヴィッツ・ボレルの定理によると,
|α−a/b|<1/√5b^2
を満たす有理数a/bは無限に多く存在する.
しかし,λ>√5に対しては
|α−a/b|<1/λb^2
の成り立たないαが存在する.黄金比φはそのような一例であるというのが,フルヴィッツ・ボレルの定理の本質である.
したがって,λ>√5に対しては
|α−a/b|<1/λb^2
には有限個の解しかないのである.
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【3】まとめ
[1]隣り合う2点間の距離は一定値以下(相対稠密性)
[2]隣り合う2点間の距離は一定値以上(一様離散性)
両方の性質を満たす集合をドローネー集合という.
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