■シンク関数の積分(その4)
結局,自力で証明することを早々に諦めて,
David Borwein,Johnathan M. Borwein: Some remarkable properties of sinc and related integrals; The Ramanujan Journal, in press. CECM preprint 99,142 (available from http://www.cecm.sfu.ca/preprints)
を参照することにした.
ここでは紹介しないが,フーリエ変換によって解析学的に証明される.それによると
∫(0,∞)Πsinc(kx)dx
は,Σk<2のときπ/2となるということである.すなわち,k=1/(2i+1)の場合,第6項までだと
1+1/3+・・・+1/13<2
だが,第7項まででは
1+1/3+・・・+1/13+1/15>2
また,k=1/(3i+1)の場合,第10項まで計算しても
1+1/4+・・・+1/28+1/31<2
なのである.
この論文には,例の積分を提示したあと,
When this fact was recentry verified by a reseacher using a computer algebra package, he concludeed that there must be a "bug" in software. Not so. In the above example 1/3+....+1/13<1 but with the addition of 1/15, sum exceeds 1 and identity no longer holds.....(p14)
とある.
その後,代数的な式に,具体的な係数値を代入して,
∫(0,∞)sincxsinc(x/3)sinc(x/5)・・・sinc(x/13)sinc(x/15)dx=R*π
R=467807924713440738696537864469/935615849440640907310521750000
=0.499999999992646・・・
を得ることができたことから,本件ではバグではなく,「数式処理ソフト」は正しいということが確認されたことになる.
ここで不思議になるのは,Borweinの論文がでる前に,どうやってMathematicaは正しい結果を計算したか?である.とにかく数式処理ソフトの実力には感心させられるが,Mathematicaの積分,極限等の公式については,カンファレンス等でどの様な公式集によったか,どのように確認したかは公表されているようで,文献を丹念に追っていけばソースは明らかになるようである.
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