■シンク関数の積分(その3)
【1】シンク積分
シンク積分(あるいはディリクレ積分)→[補]
∫(0,∞)sincxdx=∫(0,∞)sinx/xdx=π/2
はよく知られていて,複素積分などを用いて求めることができる.
また,決して有名ではないが,
∫(0,∞)sincxsinc(x/3)dx=π/2
∫(0,∞)sincxsinc(x/3)sinc(x/5)dx=π/2
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∫(0,∞)sincxsinc(x/3)sinc(x/5)・・・sinc(x/13)dx=π/2
も成り立ち,これらは一般に
∫(0,∞)Πsinc(kx)dx=π/2
と書くことができる.
Mathematicaを用いて計算してみても,
∫(0,∞)Πsinc(kx)dx,
k=1/(2i+1),i=0~
において,i≦6でπ/2となる.
ところが,i=7のとき,
∫(0,∞)sincxsinc(x/3)sinc(x/5)・・・sinc(x/13)sinc(x/15)dx=R*π
R=467807924713440738696537864469/935615849440640907310521750000
=0.499999999992646・・・
となって,π/2とはならないのである.
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これは数式処理ソフトのバグのようにみえるかもしれないが,このような器用なバグは作ることは難しい.いろいろ試してみると間違いであるとは考えにくく,本件では「数式処理ソフト」は正しいということになりそうである.
さらに検証してみると,i≧7で右辺はπ/2にはならず,i=8では,
∫(0,∞)sincxsinc(x/3)sinc(x/5)・・・sinc(x/15)sinc(x/17)dx=R*π
R=17708695183056190642497315530628422295569865119/354173907883011952948983529875210935040000000
i≧9でも同様に,有理数ではあるが簡単なものにはならなかった.
次に,係数を変えて
∫(0,∞)Πsinc(kx)dx,
k=1/(3i+1),i=0~
を計算してみた結果,i≦10でπ/2となった.i≧11は計算しなかったが,一体どうなっているのだろう.(これ以外のケースも試したが,感心なことに,Mathematicaではそれなりに答えを出してくれるのである.)
この件に関しては証明ができればさらに面白いのだが,ルベーグ積分の可能性との関連で,証明は面倒になりそうである.実際に証明に挑戦してみないとわからないが,数式ソフトの問題ではなく,証明可能な式のようだ.
∫(0,∞)sincxdx=∫(0,∞)sinx/xdx=π/2
という事実から何とかするのだと思うが,・・・
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