■15定理と290定理(その2)
1996年,コンウェイとシュニーバーガーは正定値n元2次形式(変数nの数は任意とする)が1から15までのすべての整数を表せば,それがすべての正の整数を表すことを示した(15の定理).
もっと限定していえば
1,2,3,5,6,7,10,14,15
の9つの数を表現するならば,すべての正の整数を表現するという定理である.
15の定理は290予想のbest-possibleな解決であると思っていたのであるが,290予想は(予想ではなく)れっきとした定理である.
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【1】n元2次形式による整数の表現と290定理
正定値n元2次形式(変数nの数は任意とする)において,
1,2,3,5,6,7,10,13,14,15
17,19,21,22,23,26,29,30,31
34,35,37,42,58,93,110,145,203,290
の29個の数を表現するならば,すべての正の整数を表現するというのが290定理である.
5変数2次形式,たとえば,
a^2+2b^2+5c^2+5d^2+15e^2
はどの整数も表すことができるが,
2a^2+ab+4b^2+bc+c^2+29d^2+29de+29e^2
は290だけを表すことができない.
普遍的な3変数2次形式は存在しない.たとえば,
f(x,y,z)=x^2+2y^2+yz+4z^2
は1から30までの整数をすべて表すが,31を表すことはできない.他の3元2次形式はこんなにうまい具合にはなっておらず,31以下の整数の中のどれかを表すことができないのである.
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15定理の行列表現は,たとえば,
[1,0,0,0]
M=[0,2,0,0]
[0,0,5,0]
[0,0,0,5]
のように行列の成分がすべて整数であるが,条件を少し緩めて,2次形式の係数がすべて整数であればよいという条件に変える.すると,
M=[1,1/2]
[1/2,1]→x^2+xy+y^2も扱えるようになる.
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【2】15定理の素数版
コンウェイの「15定理」はある2次形式が1から15までの数を表現できるならば,それはすべての自然数を表現できることを示した.
その素数版の定理がある.ある2次形式が73までの素数を表現できるならば,それはすべての素数を表現できる(バールガバ).
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