■誤差±1(その2)

 フェルマー・ワイルスの定理より

  x^n+y^n=z^n

に整数解が存在するのは,n=1と2の場合だけです.したがって,a^3+b^3=c^3になるような3つの整数a,b,cを見つけることはできませんが,誤差±1を許すことにすると

  6^3+8^3=9^3−1

のようにぎりぎりこれに近い式を見つけることができます.

 ここでは,ラマヌジャンが示した

  a^3+b^3=c^3±1

のパラメータ解を紹介します.

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【1】ラマヌジャン解

 3つの数列{an},{bn},{cn}の母関数を以下のように定義する.

  Σanx^n=(1+53x+9x^2)/(1−82x−82x^2+x^3)

  Σbnx^n=(2−26x−12x^2)/(1−82x−82x^2+x^3)

  Σcnx^n=(2+8x−10x^2)/(1−82x−82x^2+x^3)

 すると

n      an        bn        cn

0       1       2        2

1     135     138      172

2   11161   11468    14258

3  926271  951690  1183258

のようになりますが,このとき

  an^3+bn^3=cn^3+(−1)^n

がすべてのn=0,1,2,3,・・・に対して成り立つ.

 [参]チャンバーランド「ひとけたの数に魅せられて」岩波書店

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[雑感]

 (1−82x−82x^2+x^3)=(x+1)(x^2−83x+1)

 (a,b,c)=(1,2,2)から始まって次々に解となる数を見つけることができるというわけですが,(a,b,c)=(6,8,9)は含まれず,すべての解をもれなく表す式ではありません.

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