今回のコラムでは,平面幾何学からいくつかのおもしろい定理を紹介する.
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【1】デカルトの4円定理
デカルトの4円定理とは,互いに外接する4個の円の半径の逆数の間の等式
(Σ1/ri)^2=2Σ(1/ri)^2
です.
(1/r1+1/r2+1/r3+1/r4)^2=2(1/r1^2+1/r2^2+1/r3^2+1/r4^2)
デカルトの円定理より,三角形ABCにおいてA,B,Cを中心としてそれぞれ半径
r1=(−a+b+c)/2,r2=(a−b+c)/2,r3=(a+b−c)/2
の円を描くとそれらは互いに外接することがわかります.
(Q)互いに外接する3個の円(半径r1,r2,r3)がある.これらすべてに外接する円の半径rを求めよ.
(A)r=r1r2r3/{r1r2+r2r3+r3r1+2√r1r2r3(r1+r2+r3)}=1/{1/r1+1/r2+1/r3+2√(1/r1r2+1/r2r3+1/r3r1)}
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相異なる2つの球面S1,S2の中心をx1,x2,半径をr1,r2とするとき,S1,S2が接するための必要十分条件は
|x1−x2|=|r1±r2|
となることである.±は外接か内接かに対応している.
一般にR^n内の互いに接するn+2個の球面の系があるとする.このとき,接点がすべて異なるならばこれらn+2個の球面はすべて外接するか,または,ある球面が他のn+1個の球面を含むことになる.このような互いに接するn+2個の球面の系については,球面の半径の逆数に関する単純な等式がある.
(Σ1/ri)^2=nΣ(1/ri)^2
ただし,Sjが他の球面をすべて含むときはrj=−(Sjの半径)とする.このようにすることで,接する2つの球面間の距離が常に|xi−xj|=|ri+rj|で表される.
n=2の場合,互いに外接する4個の円の半径の逆数の間の等式
(Σ1/ri)^2=2Σ(1/ri)^2
が成立し
(1/r1+1/r2+1/r3+1/r)^2=2(1/r1^2+1/r2^2+1/r3^2+1/r^2)
1/r^2+2/r(1/r1+1/r2+1/r3)+(1/r1+1/r2+1/r3)^2=2(1/r1^2+1/r2^2+1/r3^2+1/r^2)
1/r^2−2/r(1/r1+1/r2+1/r3)−(1/r1^2+1/r2^2+1/r3^2+1/r^2)+2(1/r1r2+1/r2r3+1/r3r1)=0
この2次方程式を整理すると(A)と同じ式が得られる(デカルトの円定理).n=2,3の場合は和算家達によっても得られていた(デカルトの円定理の拡張).
(Q)与えられた円(半径R)の内部に互いに外接する3個の等円(半径r)があるとき,rを求めよ.
(A)この場合は
(1/r1+1/r2+1/r3+1/r)^2=2(1/r1^2+1/r2^2+1/r3^2+1/r^2)
において,r1=r2=r3=r,r=−Rとする. → r=(2√3−3)R
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【2】ビークロフトの定理
「4つの円が互いに接している場合,それら4つの円と接点を共有する互いに接する別の4つの円が存在する.」
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【3】5円定理
「あるひとつの円周C上に中心をもつ5つの円を5円のそれぞれが隣の円とC上に交点をもつようにして描く.5つの円は同じ大きさである必要はない.このとき,もう一つの交点を結ぶと星形五角形となり,その頂点は5つの円周上にある.」
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【4】バンコフのプロペラ定理
頂点が1点で会している3つの合同な正三角形がある(これらは接してもよいし,重なってもよい).このとき,隣接する正三角形の1点で会合していない頂点同士を結ぶ.このとき,3本の線分の中点はひとつの正三角形の頂点となる.
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【5】プロペラ定理の一般化
3つの正三角形は合同である必要はなく,どんな大きさであっても定理が成り立つ.また,正三角形である必要もなく,1点で会する任意の大きさの相似三角形であればよい.このとき,3本の線分の中点はひとつの相似三角形を形作る.
さらに,1点で会する必要もなく,3つの相似三角形が任意の大きさの4番目の相似三角形の各頂点で会すればよい.
[補]2つの任意の大きさの正方形が1つの頂点で会しているとき,それぞれの正方形の1対の頂点を結ぶ線分の中点と正方形の中心の4点は別の正方形を形作る.
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