与えられた三角形に内接する最大の長方形は,任意の2辺の中点から他の1辺に垂線をおろしてこれらを対辺とする長方形を描くことによって得られます.沿革三角形ではこのような長方形は3通り,直角三角形なら2通り,鈍角三角形なら1通りとれます.
与えられた三角形に内接する最大の長方形の面積は,三角形の面積のちょうど半分ですが,正三角形における最大内接正方形の面積はどのようになるのでしょうか?
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(Q1)正三角形に正方形を内接させる問題を考えます.正方形の4つの頂点は正三角形の辺上にあり,2つの頂点は正三角形の底辺に,あとの2つの頂点はそれぞれ斜辺の上にあるものとします.
(A1)正三角形の1辺の長さを1とし,正三角形の斜辺上にある正方形の頂点がそれをx:1−xに内分するとき
x=(1−x)sin60°
より
x=2√3−3
(この値憶えておいてほしい.あとでこの数と再会することになる.)
単位正三角形の面積:√3/4
最大内接正方形の面積:x^2=21−12√3
であるから,最大内接正方形の面積は最大内接長方形の面積√3/8よりわずかに小さい.
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底辺の長さa,高さbの三角形の最大内接正方形の1辺の長さxは
x=ab/(a+b)
で表されるが,最大内接長方形の場合と異なり,最大内接正方形では底辺をどこにとるかで大きさが変わり得る.
(Q2)正三角形には内接する最大の正方形が3通りある.正三角形ではどの辺を底辺をとっても内接正方形の面積は変わらないが,これは正三角形でしか起こり得ないことだろうか?
(A2)カラビによる2等辺鈍角三角形(1:1:x)は3種類の内接正方形が同じ大きさとなる正三角形以外の唯一の三角形であることが知られている(カラビの三角形).
x=1.55139・・・は2x^3−2x^2−3x+2=0の正値解のひとつ(1.55139,0.573183,−1.12457).
[参]コンウェイ,ガイ「数の本」シュプリンガー・フェアラーク東京,p225
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(Q3)正方形にはいる最大の正三角形は?
(A3)正三角形の1つの頂点は正方形の頂点上にあり,2つの頂点は正方形の辺上にあるものとき,最大の正三角形が得られますから,正方形の1辺の長さを1とし,正方形の辺上にある正三角形の頂点がそれをx:1−xに内分するとき
x=tan15°=2−√3
したがって,面積比は
(x^2+1)sin60°/2=2√3−3
すなわち,単位正方形に内接する最大の正三角形の面積比と,単位正三角形の最大内接正方形の1辺の長さに等しいことになる.
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