(その5)では,五角形と六角形からなる多面体には五角形が常に12個あることを証明した.
(証)オイラーの多面体定理で示される制限からいえることとして,
v−e+f=2,2e≧3f,2e≧3v
を組み合わせると,
2v+2f=2e+4≧3f+4 → f≦2v−4
2v+2f=2e+4≧3v+4 → v≦2f−4
また,別の組合せ方をすると,
3v+3f=3e+6≦2e+3f → 3f−e≧6
3v+3f=3e+6≧2e+3v → 3v−e≧6
n本の辺をもつfn枚の面とn本の辺が交わるvn個の頂点をもつ凸多面体について,
F=f3+f4+f5+・・・
2E=3f3+4f4+5f5+・・・
6F−2E≧12
に代入すると
3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・≧12
地図のように2つの辺に囲まれた領域まで許すことにすると,この数え上げ公式は
4f2+3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・=12
となり,係数が1ずつ小さくなり,それが0となるf6は式中に現れない.
ここで,
(1)f2=f3=f4=0だとすると,少なくとも12個のf5がなければならないことになる
(2)多面体の面がすべてf5とf6であるならば,f5=12(切頂二十面体)
(3)多面体の面がすべてf4とf6であるならば,f4=6(切頂八面体)
(4)多面体の面がすべてf4,f6,f8であるならば,f4=f8+6(斜方切頂立方八面体)
今回のコラムではこの証明に倣って,次数が3,4,5,6の2次元格子について調べてみることにする.
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【1】次数3の2次元格子
オイラーの多面体定理で示される制限からいえることとして,
v−e+f=0,2e≧3f,2e=3v
3v+3f=3e=2e+3f → 3f−e=0
n本の辺をもつfn枚の面とn本の辺が交わるvn個の頂点をもつ2次元格子について,
F=f3+f4+f5+・・・+fn
2E=3f3+4f4+5f5+・・・+nfn
6F−2E=0
に代入すると
3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・=0
となる.
したがって,次数3の2次元格子には,
(1)六角格子
(2)f5:f7=1:1
(3)f4:f8=1:1
(4)f3:f9=1:1
(5)f3:f12=2:1
などがあることがわかる.
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【2】次数4の2次元格子
v−e+f=0,2e≧3f,2e=4v
4v+4f=4e=2e+4f → 4f−2e=0
F=f3+f4+f5+・・・+fn
2E=3f3+4f4+5f5+・・・+nfn
を
4F−2E=0
に代入すると
f3−f5−2f6−3f7−4f8−・・・=0
となる.
したがって,次数4の2次元格子には,
(1)正方格子
(2)f3:f5=1:1
(3)f3:f4:f5=1:1:1
(4)f3:f6=2:1
(5)f3:f7=3:1
などがあることがわかる.
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【4】次数5の2次元格子
v−e+f=0,2e≧3f,2e=5v
5v+5f=5e=2e+5f → 5f−3e=0
F=f3+f4+f5+・・・+fn
2E=3f3+4f4+5f5+・・・+nfn
を
10F−6E=0
に代入すると
f3−2f4−5f5−8f6−11f7−・・・=0
したがって,次数5の2次元格子には,
(1)f3:f4=2:1
(2)f3:f5=5:1
などがあることがわかる.
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【4】次数6の2次元格子
v−e+f=0,2e≧3f,2e=6v
6v+6f=6e=2e+6f → 6f−4e=0
F=f3+f4+f5+・・・+fn
2E=3f3+4f4+5f5+・・・+nfn
を
3F−2E=0
に代入すると
−f4−2f5−3f6−4f7−5f8−・・・=0
したがって,
f4=f5=f6=f7=f8=・・・=0
でなければならない,すなわち,次数6の2次元格子は三角格子だけとなる.
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