■スターリングの不等式(その2)
【1】n次元正軸体の切頂
n次元正軸体を切頂して,すべての辺が同じ長さの「n次元切頂八面体」を作ることを考える.正軸体を切頂する場合,すべての辺が同じ長さになるのはどんなときだろうか? 計算方法はコラム「n次元の立方体と直角三角錐(その57)」に譲って結論を先にいうと,超平面x=2/nで切頂すればよい.
n次元正軸体の頂点の座標は
(1,0,・・・,0)
(0,1,・・・,0)
・・・・・・・・・・・
(0,0,・・・,1)
で与えられるから,基本単体の座標はk次元面の重心をとることによって,
p0(1,0,・・・,0)
p1(1/2,1/2,0,・・・,0)
p2(1/3,1/3,1/3,0,・・・,0)
・・・・・・・・・・・・・・・・
pn-1(1/n,1/n,1/n,・・・,1/n)
pn(0,0,・・・,0)
この超平面はnが偶数のとき,頂点Pn/2-1を通る.正軸体の基本単体の切断のほうが超立方体の基本単体の切断よりも簡単に扱えることがわかった.
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【2】図形的証明
もとのn次元正軸体の1象限の体積は1/n!.また,切頂後2個で1辺の長さ(2/n)の立方体ができるから,不等式
2/n!≧(2/n)^n
が成り立つことがわかる.
この不等式は,スターリングの不等式から明らかかもしれないが,図形的に示すことができることは面白いだろう.
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