■ニュートン数とハドヴィガー数(その2)

【1】ニュートン数

 単位球に内接する正20面体の稜の長さは,

  √(4−cosec^2(π/5))=1.0514・・・

であり,1つの球は正20面体の頂点において,12個の他の球と接触することができます.

 ニュートン数を,球に限らず一般の図形Sに接することができるSと合同な図形の最大数と定義して,ニュートン数を求めてみると,

   平面図形      ニュートン数

  正三角形         12

  正方形           8

  正n角形(≧5)      6

  ルーローの三角形      7

  定幅図形         ≦7

  平面充填可能な凸板   ≦21

 30°30°120°の角をもつ三角形のニュートン数は21ですが,この三角形は正三角形格子(3,6)の各面を3個の合同な三角形に分解することによってできるモザイク模様です(麻の葉文様).日本では古くから障子や寄木細工のデザインなどとして用いられていますから,ご存じの方も多いと思います.

 一般に,n次元ユークリッド空間において,1つの単位球に同時に接触することのできる単位球の最大個数τnは

  n  τn   n  τn

  1       2   13 1130〜2233

  2 6   14 1582〜3492

  3 12   15 2564〜5431

  4 24〜25   16 4320〜8313

  5 40〜46   17 5346〜12215

  6 72〜82   18 7398〜17877

  7 126〜140   19 10668〜25901

  8 240   20 17400〜37974

  9 306〜380   21 27720〜56852

  10 500〜595   22 49896〜86537

11 582〜915 23 93150〜128096

12 840〜1416 24 196560

が知られていて,4次元以上の高次元では,8次元(240個)と24次元(196560個)の場合を除いて未解決です.

 n次元球のニュートン数については,最密充填構造と深い関連があるのですが,その下界はコクセターの方法によって求められます.一方,上界は単体的密度限界dnで粗雑ながら押さえられます.

 単体的密度限界とは,稜の長さが2rのn次元正則単体の頂点に半径rの球を描いたときの充填密度dn,外接球Rを描いたときの単体における球の被覆密度Dnのことであって,平面の場合は既に紹介した

  d2=π/√12=0.9068・・・

  D2=2π/√27=1.209・・・

空間の場合は,

  d3=√18(arccos(1/3)−π/3)=0.7797・・・

  D3=9√3/2(arccos(1/3)−π/3)=1.431・・・

となります.

 1958年,ロジャースは,四面体配置から空間充填率の上限を77.97%とはじき出しました.四面体配置は,3次元で相互に接するように球を配置するときの最大数となる配置ですが,全空間を充たすことはできないので,空間充填率の上限と考えられるわけです.

 任意のn次元空間においても,単体は空間充填体でないという都合の悪い事情が現れますので,充填密度はdnより決して大きくはなく,被覆密度はDnより小さくないので,これを使って,上側からの粗い評価をすると,

  n  τn

  1       2

  2 6

  3 12

  4 24〜26

  5 40〜48

  6 72〜85

  7 126〜146

  8 240〜244

となり,現在知られている上界よりほんの少し大きい方に偏っています.

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【2】第2ニュートン数

 ニュートン数は第1近接の最大数をさすが,第2ニュートン数は第1近接と第2近接の合計の最大数である.同様に高次ニュートン数Nkが定義される.

 円の場合,N1=6,N2=18であるが,k≦13に対して

  Nk=3k(k+1)

と予想されている.しかし,

  N14=3・14・15=630であるが,

実際はN14≧636が示されている.

 k→∞のとき,Nk/k^2→2π/√3

が成り立つ.

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