■高次元結晶と通信理論(その52)
英単語のdiscover(発見する)は覆っていたもの(cover)をはがす(dis-)ということで,私たちも年齢を問わず先入観を捨て,好奇心をたぎらせれば日常の身近なところに多くの発見をすることができる.
私も2つ3つ新しい定理を証明したが,決して定理を自分で考え出したとは思わない.発明したのではなく,前からたまたまそこにあった定理を発見したに過ぎないのである.
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(その44)に戻るが,石井源久さんによって描かれた高次元準正多面体のCGをひとつみてほしい.われわれ3次元人は所詮高次元図形を見ることはできないけれど,ソリッドモデルはリアリティーの高い図形を供給してくれるので,見る人のイマジネーションをかき立て,多くのインスピレーションを生み出すことができる.つまり,ソリッドモデルは高次元図形の世界の風景を一変させてくれるのである.
私は「多次元半正多胞体のソリッドモデリングに対する研究」を3−4年ほど前にご本人から謹呈して頂いたのであるが,その考察はすばらしいの一言につきる.このような立派な研究が行われていたことをまったく知らなかったこと,忘れ去られた(あやうく忘れ去られるところであった)論文があったことを恥じ入るばかりであった.
この論文は現在の多面体論の発展の基礎になっており,いまなお学ぶに値することを強調しておきたい.
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