コラム「4次元正24胞体の木工製作」では,エンドレスキューブのように連続回転する様子を掲げた.ところで,4次元正8胞体の点心模型は,白銀菱形六面体4つにより菱形12面体を作る.これが正8胞体の表側で,裏側も考えれば正8胞体になる(4ピース).
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【1】白銀菱形六面体
各面の菱形の対角線の長さの比が白銀比1:√2の白銀菱形六面体には2種類あり,細めで尖ったほうがacute ,太めで平たいほうがobtuse と呼ばれています.菱形12面体を4等分した白銀菱形六面体はacuteの方なのですが,細くて尖っているため木工製作には向いていません.
そこで,工藤の三角錐(あるいはc-squadron, pentadron)で白銀菱形六面体を作ることを考えます.下の写真は工藤の三角錐6個からなる白銀菱形六面体です.
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【2】菱形12面体(4次元正8胞体)
したがって,
(1)工藤の三角錐が24個集まれば,菱形12面体(4次元正8胞体)となります.下の写真は中川宏さん製作の工藤三角錐24個からなる菱形12面体です.
同様に,
(2)c-squadron96個 → 菱形12面体
(3)pentadron192個 → 菱形12面体
により,3次元(4次元)空間を隙間なく埋める周期的構造を作ることができます.菱形12面体は4次元立方体の3次元空間への投影図というわけです.
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【補】デーン・シドラーの有限分解合同定理
デーンは1901年に分解合同となるための必要条件だけを示した.それはヒルベルトの第3問題に対する答えになっていた.シドラーはデーンの条件が十分条件でもあることを示した.デーン・シドラーの定理は2つの多面体が分解合同になるための必要十分条件を与えるものである.ハドヴィゲールはこの問題を平行移動に置き換えて得られる問題についても研究した.
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