■ウィア・フェラン泡(その61)

 「周長Lの等しい平面領域で,最大の面積Sをもつものは円である.」これを別の表現にしたものが,等周不等式

 「L^2≧4πS   等号は円に対してのみ成り立つ.」

です.

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【1】等周不等式

 この節では,多面体に対する等周問題と取り上げますが,任意のn次元の等周不等式は,

  S^n/V^(n-1)≧n^nvn   (vnはn次元単位球の体積)

         =n^nπ^(n/2)/Γ(n/2+1)

で表されます.

 n次元等周比(Cn)において,とくに,n=2のときとn=3のときについては,

  C2=4π,C3=36π

すなわち,

  L^2≧4πS

  S^3≧36πV^2

がわかります.以下,

  C4=2^7π^2,C5=8/3*5^4π^2,C6=6^5π^3,・・・

となりますが,等周比が有理数(整数)×πの形となるのは,2次元・3次元だけのようです.

 また,凸体Vを囲む曲面Sにおいて,平均曲率は,

  H=1/2(1/R1+1/R2)

で定義されます.ここで,平均曲率の積分を

  M=∫Hds

で表すと,ミンコフスキーの不等式

  S^2−3VM≧0

  M^2−4πS≧0

これから直ちに

  S^3≧36πV^2

が導かれます.

 ともあれ,3次元凸集合に対し,表面積をS,体積をVとすると,

  S^3≧36πV^2

が成り立ちます.等号成立は球のときだけで,すべての立体中で球が表面積に対して最大の体積をもっています.

 多面体の等周問題は,単位球に外接する多面体では,

  V=S/3

となることから,

  S^3/V^2=9S=27V

が成り立ちます.したがって,与えられた面数nをもつ多面体に関する等周問題は,最小の体積または最小の表面積をもち,球に外接するn面体を定めるという問題に帰着されます.

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