■高次元結晶と通信理論(その29)

【3】n次元における最疎球被覆

 最疎球被覆であることが証明されているのは,1次元Zと2次元A2の場合だけである.格子状球被覆に限れば,5次元まで証明されていて,Anの双対An~が答えである.

 An~の被覆密度は,外接球の半径が

  R=n(n+2)/12(n+1)

より,

  Θ=vn(n+1)^(1/2){n(n+2)/12(n+1)}^(n/2)

で与えられることがわかっていて,

  A1~=A1 =Z   Θ=1 

  A2~=A2      Θ=1.2092 

  A3~=D3~     Θ=1.4635

  A4~        Θ=1.7655

  A5~        Θ=2.1243

 そして,23次元以下ではAn~が最疎球被覆配置であることが知られている.8次元では

  A8~        Θ=3.6655・・・

  E8         Θ=4.0587・・・(π^4/24)

であるが,24次元では

  A24~        Θ=63.269・・・

  Λ24        Θ=7.9035・・・((12π)^12/12!)

となり,Λ24のほうが疎である.

 An~では次元が高くなると

  (log2Θn(n))/n〜log2√(πe/6)=0.2546

となり,最疎球被覆とはなり得ないことがわかる.

 Θの下界は単体的密度限界Dnで押さえられるから,

  Θ≧Dn≧1

ここで,辺の長さが2の正単体の外接球の半径は

  {2n/(n+1)}^(1/2)

より,

  Dn={2n/(n+1)}^(n/2)dn

n→∞のとき,

  {2n/(n+1)}^(n/2)→e^(-1/2)2^(n/2)

より,

  Dn 〜 n/e√e

 したがって,下界については

  Θ≧n/e√e

上界については

  Θ≦nlogen+nlogelogen+5n

が知られている.

  n/e√e≦Θ≦nlogen+nlogelogen+5n

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