■高次元結晶と通信理論(その25)
【2】空間における極大格子
以上は,平面上の点の配置の分析ですが,3次元の空間中の点の配置についても同様の議論となります.なぜなら,立方格子をゆがめて,すべての辺の長さの等しい平行六面体格子をつくってみると,平行六面体も空間充填多面体の1つとなるからです.
平面において正三角形が果たしたのと同じ役割を,今度は正四面体が受け持つのですが,平行六面体の体積は,スカラー三重積a・(b×c),すなわち,ベクトルaと外積b×cの内積で与えられるますから,辺a,b,cが互いに60°の角度をなすようにすると,平行六面体の体積は
|d^2 d^2/2 d^2/2|
G=|d^2/2 d^2 d^2/2|=1/2d^6=1=V^2
|d^2/2 d^2/2 d^2|
したがって,基本平行六面体の体積が1の空間単位格子を考えてみると,最小値は
r=6√2=1.1225
となります.
このとき,基本平行六面体は2つの正四面体にこれと等しい辺をもつ正八面体をつなぎ合わせてできる斜方平行六面体であって,最密充填格子状球配置は配位数12の面心立方格子で,その充填率は,
√2π/6=.7405
と計算されます.
===================================
3次元の場合も,平均距離rは点の密度の立方根に逆比例するという結果が得られますから,
r=q/3√δ
の形で書くことができ,後述するランダム配置(ポアソン配置)であれば,
q=(4/3π)^(-1/3)Γ(4/3)=0.5540
となります.
また,点が均等配置に近づけばqの値は大きくなるはずで,たとえば,立方格子配置であればv=rm^3に対して1個の点が割り付けられますから,δ=1/rm^3,それゆえ,この場合は
q=1
格子線の交角を60°のとき,平行六面体の体積は最小値
v=r^3/√2
したがって,qの最大値は
q=6√2=1.1225
となります.
===================================