平行多面体のうち正多面体と同じ対称性をもつ立体は,プラトン立体では立方体,アルキメデス立体では切頂8面体,大菱形立方8面体,大菱形12・20面体,カタラン立体(アルキメデス双対)では菱形12面体,菱形30面体があります.また,これらの平行多面体から得られるねじれ立体には,正方形からは正4面体,切頂8面体からは正20面体,大菱形立方8面体からはねじれ立方体,大菱形12・20面体からはねじれ12面体がある.
ねじれ立方体,ねじれ12面体のもとになる立体の1辺の長さをa=2とおいて,切稜パラメータをx,切頂パラメータを計算すると,
立方体 正十二面体
切稜パラメータx 0.456311 0.520868
切頂パラメータy 0.248091 0.268053
となった.
正多面体のある頂点から隣接する頂点までの距離のどのくらいを切稜,切頂するのか,その切稜率をs,切頂率をtとおくと
sa=x,ta=2x+y (0≦s≦0.5,0≦t≦1)
x=sa,y=(t−2s)a
であるから
立方体 正十二面体
切稜率s 0.2281555 0.2604340
切頂率t 0.5803565 0.6548945
と換算される.
今回のコラムでは,「ねじれ立方体」「ねじれ12面体」の双対多面体である「5角24面体」「5角60面体」の頂点の座標や面の形,二面角などを求めてみることにする.
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【1】ねじれ立方体とその双対の計量
ねじれ立方体の構成する方法を考えてみよう.原点を中心とする辺の長さ2の立方体の各面に頂点(+/-a,+/-b)(+/-b,-/+a)の傾いた正方形があり,立方体の外から眺めたときつねに同じ向きになるように置く.したがって,傾いた正方形の頂点の座標は(a,b,1)などとなる.
すると
a=1−2s
b=1+2s−2t
と計算される.
(1)正方形面の頂点の座標:(a,b,1)
そして,原点から頂点までの距離の2乗は
a^2+b^2+1^2=R^2
この頂点は[3,3,3,3,4]型であるが,正方形面の中心の座標と4つの正三角形面の中心の座標は,それぞれ
(2)正方形面の中心の座標:(0,0,1)
(3)正三角形面の中心の座標:
(a/3,(a+b+1)/3,(a+2)/3)=(.18123,.613096,.847897)
((a+b+1)/3,(a+b+1)/3,(a+b+1)/3)=(.613096,.613096,.613096)
((a+2)/3,a/3,(a+b+1)/3)=(.847897,.18123,.613096)
((a+b+1)/3,−a/3,(a+2)/3)=(.613096,-.18123,.847897)
外接球はx^2+y^2+z^2=R^2ですから,(1)正方形面の頂点(a,b,1)における接平面は
a・x+b・y+z=R^2
で与えられます.
したがって,外接球の中心から接平面上に(2),(3)を投影すると,それぞれ,
(2)→(0,0,R^2)=(0,0,1.38298)
(3)→(aR^2/c,(a+b+1)R^2/c,(a+2)R^2/c)
c=a^2+ab+b^2+a+b+2,(.222263,.751909,1.03987)
(3)→((a+b+1)R^2/c,(a+b+1)R^2/c,(a+b+1)R^2/c)
c=(a+b+1)^2,(.751909,.751909,.751909)
(3)→((a+2)R^2/c,aR^2/c,(a+b+1)R^2/c)
c=a^2+ab+3a+b+1,(1.03987,.222263,.751909)
(3)→((a+b+1)R^2/c,−aR^2/c,(a+2)R^2/c)
c=a^2+2a+2,(.751909,-.222263,1.03987)
これで5角24面体の頂点の座標が求められました.この5角形を白銀5角形と呼ぶことにしますが,白銀5角形の辺長(0.855856,0.602866)で辺長比は1.41965,内角は(114.812°×4,80.7517°),二面角はすべて等しく136.309°と計算されます.
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【2】ねじれ12面体とその双対の計量
もとになる立体の1辺の長さをa,切稜パラメータをx,切頂パラメータをyとおくと,2p角形面と4角形面に挟まれる辺の長さは
b=a+2xcos(2π/p)−2x−2y
2p角形面と6角形面に挟まれる辺の長さは
c=2ycos(π/p)
4角形面と6角形面に挟まれる辺の長さは
d=2xcos(π/p)
で与えられる.
さらにこのことから,2p角形面の対角線の長さの2乗は
f(x,y)=b^2+c^2-2bccos(π(p-1)/p))・・・・・(1)
4角形面の対角線の長さの2乗は
g(x,y)=b^2+d^2・・・・・(2)
6角形面の対角線の長さの2乗は
h(x,y)=c^2+d^2+cd・・・・・(3)
で表される(余弦定理).
この公式はねじれ立方体の場合も使えますが,ここではねじれ12面体の場合を考えます.ねじれ12面体では1辺の長さaの正12面体の各面が1辺の長さ(1)^1/2=(2)^1/2=(3)^1/2の正五角形に縮み,その隙間を正三角形が埋めたものになっています.
ねじれ12面体の座標計算には,正五角形面をz軸方向にして投影するか(コラム「凧型24面体の黄金化と凧型60面体の白銀化」参照)あるいは辺心図を用いるか(コラム「大菱形12・20面体,小菱形12・20面体の木工製作」参照)のいずれを採っても大変複雑になることは避けられそうにありません.
ここでは後者を採ることにします.すなわち,五角面の頂点の座標を
A(0,1,d)
B(−D,D,D)
C(−d,0,1)
D(d,0,1)
E(D,D,D)
d=(3−√5)/2=2−φ
D=(−1+√5)/2=φ−1
とおくものです.
すると
(1)正五角形の頂点の座標:(a,b,c)は
a=φDs+d(1−t)−dt
b=Ds
c=1−s+Ds
そして,原点から頂点までの距離の2乗は
a^2+b^2+c^2=R^2
と計算される.
この頂点は[3,3,3,3,5]型であるが,正五角形面の中心の座標と4つの正三角形面の中心の座標は,それぞれ
(2)正方形面の中心の座標:(0,447214,.723607)
(3)正三角形面の中心の座標:
(-.0920439,.0812632,.8834597)
(.0920439,-.0812632,.8834597)
(.318268,0,.833235)
(.347543,.23917,.785867)
また,外接球はx^2+y^2+z^2=R^2ですから,(1)正五角形面の頂点(a,b,c)における接平面は
a・x+b・y+c・z=R^2
で与えられます.
したがって,外接球の中心から接平面上に(2),(3)を投影すると,それぞれ,
(2)→(0,5296829,.857043)
(3)→(-.091554,.0875418,.951717)
(3)→(.091554,-.0875418,.951717)
(3)→(.342858,0,.897613)
(3)→(.374395,.257649,.846584)
これで5角60面体の頂点の座標が求められました.この5角形を黄金5角形と呼ぶことにしますが,黄金5角形の辺長(0.462907,0.26454)で辺長比は1.74985,内角は(118.137°×4,67.4536°),二面角はすべて等しく153.179°と計算されます.
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