■デューラーの八面体の設計(その24)
立体図形のS^3/V^2は平面図形のL^2/Aの相当していて,「等周比」あるいは「等周定数」と呼ばれます.
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球に内接する多面体が存在すること自体が稀なのですが,与えられた球に対して球面上に勝手に点をうって接平面を作っていけば,内接球をもつ立体を作ることができます.(一方,外接球にすべく,勝手に取った点をつないで線は引けても,面を構成するには相手を選んで線を引かねばならないし逐次的にいくのも大変です.)
球面上にn個の点を配置した場合,n個の頂点(またはn個の面)をもつ凸多面体の内接球半径rおよび外接球半径Rの間には,球殻不等式
R/r≧√3tanωn
ωn=n/(n−2)・π/6 n≧3
が成立します.n=4のとき,ωn=π/3.したがって,
R/r≧3 (4面体不等式)
が得られます.
この3次元版の球殻不等式から「同じ大きさの球に内接する正12面体と正20面体とでは,正12面体の方が体積Vも表面積Sも大きい.」が導かれます.そんなばかなと思われるかもしれませんが,直感に反して,正12面体は球の66.5%,正20面体は球の60.6%を占めるのです.したがって,正多面体を球に内接させたとき最も球に近い正多面体は正12面体です.(一方,外接させれば体積も表面積も正20面体の方が球に近くなります.)
また,多面体の等周問題は,単位球に外接する多面体の場合,
V=S/3
となることから,
S^3/V^2=9S=27V
が成り立ちます.したがって,与えられた面数nをもつ多面体に関する等周問題は,最小の体積または最小の表面積をもち,球に外接するn面体を定めるという問題に帰着されます.
等周比の点からいえば,5種の正多面体では正4面体が最も球に遠く,正20面体が最も球に近いことになります.それでは,f個の面をもつ多面体の中で等周比の最小値を与えるものはなんでしょうか?
答えはf=4,6,12ではプラトンの正多面体,すなわち,正四面体,立方体,正十二面体が最小値をとります.しかし,f=8で等周比の最小値をあたえるものは正八面体ではありません(アルキメデスの反プリズム).f=20は未解決のまま残っています.
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