■基本単体の二面角(その100)
(その95)で紹介したテイラーの正20面体構成法,すなわり,立方体の各面に面の中心を通り同じ長さの線分を互いに直交するように描く方法は,正20面体の木工模型の製作法として用いられている方法である.
テイラー以外の正20面体構成法としては
[1]ケプラーの構成法
[2]ねじれ操作による構成法
があげられる.
===================================
[1]ケプラーの構成法
五角反角柱に五角錐を2つ貼り合わせる方法
なお,3次元の正20面体は正五角錐を基にしているが,4次元の正600胞体は正20面体を底とし20個の正四面体が1頂点に集まった「正20面錐」が基になる.
===================================
[2]ねじれ操作による構成法
正八面体の各辺を黄金分割した12点を取ると,それらは正20面体の頂点になる.
正20面体(3,3,3,3,3)
ねじれ立方体(3,3,3,4,3)
ねじれ12面体(3,3,3,5,3)
はそれぞれ正四面体,八面体,正二十面体を骨格として,ねじれ操作で構成することができる.(もちろん,ねじれ立方体,ねじれ12面体はそれぞれ立方体,正十二面体を骨格として構成することもできる.)
なお,この操作を4次元正24胞体の各胞をなす正八面体に施すと,24個の正20面体と120個(24+96)の正四面体に囲まれた「準正多胞体」ができる.この図形を「ねじれ正24胞体」と呼ぶことにする.
ねじれ正24胞体の正20面体上に「正20面錐」を重ねることによって,正600胞体を構成することができる.このようにして,正600胞体を作ったのがオランダのスカウトとイギリスのストット夫人である.ストット夫人はブール代数でおなじみの数学者ブールの3女で,幼時より図形に対する異常な直観力をもっていたと伝えられる.
「高次元図形サイエンス」によると,ねじれ操作によって
[1]4次元立方体からは正16胞体が得られる.
[2]正24胞体からはゴセットのねじれ24胞体が得られる.
[3]ほかの正多胞体からもねじれ型が得られるが,正多角形ばかりにすることはできない.
[4]5次元以上でも,立方体からねじれ立方体を得ることができる.しかし,立方体以外からはそれが得られない.
===================================