■ウィア・フェラン泡(その13)

 1994年,アイルランドの物性物理学者ウィアは,合金構造をヒントに表面積が小さくなる解を発見しました.同じ体積の2種類の多面体による空間充填なのですが,不等辺五角形の面をもつ12面体(5角形12枚)と14面体(5角形12枚と6角形2枚)が1:3の割合で並ぶものです.

 もちろん,この12面体は正十二面体ではありませんし,14面体もケルビンの14面体ではなく,ゴールドバーグの14面体と呼ばれるものです.そして,ウィアの空間充填では,12面体同士は接合せず,14面体に覆われる形になるのです.

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 2005年にウィア・フェラン泡を木工製作したことがある.ウィア・フェラン泡の辺や面には微妙な曲がりが含まれているが,これを多面体近似したものであった.当時は,ウィアの12面体・14面体のデータは持ち合わせていないので想像で作るしかなかった.おそらく,天地面は正六角形ではないだろうし,そうなると五角形面も1種類ではないことになるが,模型ですから精確さよりも単純さ,計算のしやすさ,作りやすさを優先させた.すなわち,些細な点には目をつぶることにした.

 もちろん,データがあればそれに基づいて最適平面近似は可能ですが,もともとが曲面ですからある程度のところで妥協するしかなかったのである.

 中川宏さんから多面体近似したウィア・フェラン泡の頂点座標と展開図の載っているサイト

  http://www.steelpillow.com/polyhedra/wp/wp.htm

の情報がはいった.このデータが利用して,中川宏さんがウィア・フェラン泡の木工模型を製作してくれた.物理模型としてその並び方がわかるという意味で価値のあるものになると思う.

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