■わが闘争・2015(その5)
おそらく最も重要な多面体の問題は,一般の(単体的でない)多面体の諸計量,とりわけfベクトルを理解することであろう.ここでは,ワイソフ多面体のfベクトル(f0,f1,・・・,fn-1,fn)の全容解明について,補足しておきたい.
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n次元コンパクト凸多面体(頂点数f0)のfjに関するモツキンの上限予想とは,多くとも頂点数f0のn次元巡回多面体cyclic polytopeのそれであるというものである(f0頂点のn多面体の中で,もっとも多い面をもつのは巡回多面体である).
fj≦(頂点数f0のn次元巡回多面体cyclic polytopeのfj)
この上限予想はマクマレンによって1970年に証明され(マクマレンの上限定理),その後,スタンレーによって可換環論的再証明が与えられている.
(−1,0)=1とすると
[1]nが偶数のとき
fj≦Σ(f0−k,k)(k,j+1−k)f0/(f0−k)、k=1〜[n/2]
[2]nが奇数のとき
fj≦Σ(f0−k,k+1)(k+1,j+1−k)(j+2)/(f0−k)、k=0〜[(n−1)/2]
これらの右辺は,頂点数f0のn次元巡回的多面体のfjというわけである.
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また,fベクトルとhベクトルの関係が母関数を使って大変見通しよく説明することができる.
多面体Pの母関数を
F(t)=Σ(0,n)fj-1・t^j
で定義する.f-1=1
このとき,
H(t)=(1−t)^nF(t/(1−t))=Σ(0,n)fj-1・t^j(1−t)^(n-j)
はn次の多項式であり,
H(t)=Σ(0,n)hp・t^p
と書くことができる.
逆に,
F(t)=(1+t)^nH(t/(1+t))==Σ(0,n)fj-1・t^j
であり,
hp=Σ(0,p)(−1)^(p-j)(n−j,n−p)fjー1,0≦p≦n
fj-1=Σ(0,j)(n−p,n−j)hp,0≦j≦n
となる.
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したがって,fjを与えることとhpを与えることは同値である.
n次単体的多面体に対しては,デーン・サマービル関係式
(−1)^(n-1)fk=Σ(k,n-1)(−1)^j(j+1,k+1)fj
が成り立つことは,
F(t−1)=(−1)^nF(−t)
H(t)=t^nH(1/t)
が成立すること,あるいは,
hp=hn-p
が成り立つことと同値である.
F(t/(1−t))=H(t)/(1−t)^n=Σ(0,n)fj-1・t^j/(1−t)^j
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