■高次元結晶と通信理論
来春の電子情報通信学会に「高次元結晶」についてエントリした.たった10分の講演に対して(講演の参加費が2万数千円である件はさておき)内容が多すぎて,聴講者の理解は追いつかないだろう.
実はこの問題は,たとえ1時間やそこら講義したところで,数学者でも理解はできるひとは少ない問題である.これまで京大数理解析研で数回講義したことがあるが,いつもそうであった.しかしながら,結果はみんな正しいと認めてくれる.
この問題をコンピュータで計算してみると,ある結晶のk次元面数は17次元で,64ビットマシンで扱える整数範囲を越えてしまう.
2^64〜2^60〜10^18
しかし,理解できない原因は扱っている数が膨大であるからではなく,3次元人は4次元以上の空間に対しては「群盲」であるところからきているので仕方ない.たった10分の講演ではラフプロットを感じてもらえるだけで,目的は達せられたことになる.
8次元と24次元球の最密充填は通信理論を介して現代生活を担保するほどの重要な応用を担っている.しかし,高次元結晶の場合,球の場合とは違って、8次元,24次元にこだわる必要はない.
それよりも,すべての空間で4種類の結晶を構成することができるので,都合のいい空間をみつけて応用を考えることが重要になる.情報通信に使えるかどうか? どの次元が有効なのか?・・・は,いまのところまったく未知である.
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