■デューラーの八面体の設計(その10)

 今回のコラムでは,デューラーの八面体の思いもよらぬ効用について述べてみたい.

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 3次元の正20面体は正五角錐を基にしているが,4次元の正600胞体は正20面体を底とし20個の正四面体が1頂点に集まった「正20面錐」が基になる.

 また,正八面体の各辺を黄金分割した12点を取ると,それらは正20面体の頂点になる.この操作を4次元正24胞体の各胞をなす正八面体に施すと,24個の正20面体と120個の正四面体に囲まれた「準正多胞体」ができる.この図形を「ねじれ正24胞体」と呼ぶことにする.

 ねじれ正24胞体の正20面体上に「正20面錐」を重ねることによって,正600胞体を構成することができる.

 このようにして,正600胞体を作ったのがオランダのスカウトとイギリスのストット夫人である.ストット夫人はブール代数でおなじみの数学者ブールの3女で,幼時より図形に対する異常な直観力をもっていたと伝えられる. 

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 彼等は「ねじれ正24胞体」を基にして正600胞体を作ったのであるが,故・乙部融朗翁はデューラーの八面体を基にして正120胞体を構成している.

 [参]乙部融朗「準正多体胞」

 氏はデューラーの八面体を「デューラーのメランコリア八面体」と呼んでいる.[参]は難解な文献であるが,希望者には配布したい.

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