■クラインの整数(その10)
[1]整数では一意分解定理が成立する.これは任意の整数nをdで割ったときの余りの絶対値をdより小さくとることができることに負っている.
|r|≦1/2・|d|
[2]ガウス整数でも一意分解定理が成立する.
|r|≦1/√2・|d|
アイセンシュタイン整数でも一意分解定理が成立する.
|r|≦1/√3・|d|
[3]一意分解性をもつ虚2次体は9つのみ.この答えは既に知られていて,次の9つの虚2次体Q(√d)
−d=1,2,3,7,11,19,43,67,163
に限られる.
[4]四元整数(フルビッツの整数)
{a+bi+cj+dk|Z,Z+1/2}
でも一意分解定理が成立する.それがより単純なリプシッツの整数
{a+bi+cj+dk|Z}
よりも好まれる理由である.
[5]八元数は結合的ではないが,モゥファン法則を満たしている.
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