今回のコラムでは,中川宏さんが製作された正四面体に内接する最大の正多面体のアクリル模型を紹介したい.
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【1】C in T
(Q1)正三角形に正方形を内接させる問題を考えます.正方形の4つの頂点は正三角形の辺上にあり,2つの頂点は正三角形の底辺に,あとの2つの頂点はそれぞれ斜辺の上にあるものとします.
(A1)正三角形の1辺の長さを1とし,正三角形の斜辺上にある正方形の頂点がそれをx:1−xに内分するとき
x=(1−x)sin60°
より
x=2√3−3
(Q2)正四面体に立方体を内接させる問題を考えます.正方形の8つの頂点は正四面体の面上にあり,4つの頂点は正四面体の底面に,2つの頂点は斜面に,あとの2つの頂点はそれぞれ斜面の上にあるものとします.
(A2)正四面体の面上に立方体の1面と1辺と2頂点が接する配置ですが,このとき,正四面体に内接する最大の立方体が得られます.その場合の体積比の計算方法ですが,立方体の上面を延長した正三角形の断面を考えると(Q1)と同じ状況が現れます.
正四面体の1辺の長さを1とし,立方体の上面を延長させた面が正四面体の斜辺をy:1−yに内分するとき
(2√3−3)y=(1−y)sin60°・sinδ
ここでδは正四面体の二面角で,cosδ=1/3ですから,
sinδ=2√2/3
したがって,
(2√3−3)y=(1−y)(3/2)^1/2
y=√2/(6−3√3+√2)
立方体の1辺の長さは
d=(2√3−3)y=6/(6+4√3+3√6)=0.295907
ですから,求める体積比は
{6/(6+4√3+3√6)}^3・12/√2=0.219852
ここで,中川宏からの質問です.
(Q3)正四面体の頂点方向からみて,立方体の底面の正方形の頂点は正四面体の底面の正三角形の3辺から等距離にありますか?
(A3)
(1−y)sin60°・cosδ=(2√3−3)y・cotδ=.104609
一方,直線y=√3(x+1/2)と点(−d/2,d(1+cotδ)の距離を求めると.104609,よって等しい.実にバランスよく収まっているように見えるのはそのためであろう.
(Q4)正四面体の頂点からでる3稜は,立方体の上面の正方形の辺を1:2に分けていますか?
(A4)直線y=x/√3+√3/6と直線x=−d/2の交点のy座標は.203254.
一方,区間[dcotδ,d(1+cotδ)]の1:2内分点は
d(3dcotδ+1)/3=.203254
であるから,これも等しい.
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【2】O in T
正四面体の6個の辺の中点を結ぶと正四面体の中に正八面体ができますが,その正八面体が正四面体に内接する最大の正八面体です.したがって,その体積比は1/2となります.
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【3】I in T
正二十面体の辺心図において,[1,1,1]方向を向く切頂面は8面ありますが,このうちの4面が正四面体の4面と接する配置をとるとき,正四面体に内接する最大の正二十面体が得られます.
d=(√5−1)/2=1/φ
とおくと,この切頂面は点(0,1,d),(d,0,1),(1,d,0)を通りますから
x+y+z=1+d=φ
で表されます.
このことから,正四面体の1辺の長さは
2√2φ
体積比は
(2d)^3(15+5√5)/12/{(2√2φ)^3√2/12)}
=(15+5√5)/4φ^6=0.364745
であることがわかります.
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【4】D in T
クロフトのやり残した未解決問題です.
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