■タイル貼り芸術の極致(その3)

[Q]平面を1種類の正多角形タイルで隙間なく埋めたいとき,どれを選べばいいだろうか?

[A]正三角形,正方形(碁盤),正六角形(蜂の巣)

 正多角形で共通の頂点に集まる内角の和が360°になるのは,この3つだけ(60°×3,90°×4,120°×4)で,正五角形だけを使ったタイル貼り(108°×n)ではどうしても隙間が残ることになる.

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【1】五角形を用いたタイル貼り

 正五角形だけを使ったタイル貼りではどうしても隙間が残ることになる.平面上で正五角形を連結させてみよう.正五角形を10枚丸く並べるとちょうどひとつの輪になり,正10角形の隙間が残る(デューラー・パターン).また,正五角形を5枚を星形5角形の隙間が残るように並べることもできる(ケプラー・パターン).正10角形の隙間に可能な限り正五角形を詰め込むと,菱形や星形5角形,帽子形の隙間が残る非周期的な平面充填ができあがる(ペンローズ・パターン).

 各正五角形を他の6つの正五角形に接するように規則的に配列させると,平面をできるだけ密度高く充填することができる.このデザインは中国の格子にも見られるそうだ.

 それらに対して,アラベスク模様の多くはさまざまな見方ができるように工夫されている.たとえば,正五角形ではなく,底角と頂角が120°,それに挟まれる角が90°の歪んだ等辺五角形だけを使ったタイル貼り(カイロのタイル貼り)では細長い六角形を直交するように重ね合わせたものと見ることもできる.

 カイロのタイル貼りは正方形と正三角形によるアルキメデスの平面充填形の双対として得られるものであるが,β14面体による空間充填を平面に投影した図とそっくりである.β14面体による空間充填は直方体のレンガで1段目を敷き詰めたあと,2段目を直交するように配置した空間充填(βパターン)が元になっている.

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