■タイル貼り芸術の極致(その2)
イスラム世界ではタイル貼り芸術の極致が見られるとされる.モスクをはじめさまざまな建築物の装飾にタイル貼りが用いられているからである.全部で17種類あるとされる壁紙模様はすべてアルハンブラ宮殿で発見されている.
複雑な模様になると不等辺多角形が使われる.一見すると正方形,正五角形,正六角形,正七角形,正八角形が用いられているようなタイル張りでは,全部が正多角形だとしたらひとつの頂点に集まる内角の和が360°になるはずがない.正五角形と正七角形を肉眼では気づかないように巧みにゆがめて隙間をなくしているのである(擬似正多角形によるタイル貼り).
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【1】タイル貼りの幾何学
[Q]平面を1種類の正多角形タイルで隙間なく埋めたいとき,どれを選べばいいだろうか?
[A]正三角形,正方形(碁盤),正六角形(蜂の巣)
正多角形で共通の頂点に集まる内角の和が360°になるのは,この3つだけ(60°×3,90°×4,120°×4)で,正五角形だけを使ったタイル貼り(108°×n)ではどうしても隙間が残ることになる.
[Q]平面を2種類以上の正多角形タイルで隙間なく埋めたいとき,どれを選べばいいだろうか?
[A]正八角形+正方形,正六角形+正三角形,正十二角形+正三角形,正六角形のまわりに正三角形と正方形を交互に並べるなど,9種類の並べ方がある.このうち7種類は自己鏡映対称,2種類は互いに鏡像になっている.
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