(その2)において,凧型24面体の黄金化多面体が閉じるとしたらそれは紙模型の工作誤差と思われると書いたところ,金原博昭さんより疑義のメールを頂いた.実際に作った紙模型をみると工作誤差によってこの模型が閉じたとは思えないというのである.
金原さんから凧型24面体の黄金化多面体の紙模型を送っていただき,実際に手にとって観察してみたところ,凧型24面体の黄金化多面体は正八面体に近い形で,私が固定点と考えた頂点が動いていることがわかった.紙模型は中空ですからこのようなことが起こりうるのだと思われる.
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【1】閉じた多面体になるための条件
(その2)では,凧型24面体の黄金化多面体が閉じた多面体になるための条件は,4つの頂点の座標が
A(0,0,7−4√2)
B((−8+7√2)k/2,0,(−8+7√2)k/2)
C(0,(−8+7√2)k/2,(−8+7√2)k/2)
D((−9+10√2)/7,(−9+10√2)/7,(−9+10√2)/7)
になると書いた.
しかし,3価の頂点となる点Dは固定点でなく,自由点になるものとして再考してみたい.すなわち,
A(0,0,7−4√2)
B((−8+7√2)s/2,0,(−8+7√2)s/2)
C(0,(−8+7√2)s/2,(−8+7√2)s/2)
D((−9+10√2)t/7,(−9+10√2)t/7,(−9+10√2)t/7)
であるが,ひとつのsの値に対してtが自由に変化しうる2自由度系であるから,凧型面の形は自在とはいかないまでもかなり自由度が高くなる.
変形を加える前の凧型24面体と凧型60面体で,諸量を比較すると
凧型24面体 凧型60面体
AB/AD .853829 .859571
∠BAD 40.7895 33.8915
二面角 180 180
となるから,凧型24面体(緑)ではAB/AD=.859571,凧型60面体(黄)ではAB/AD=.853829を保ったまま変形させて,∠BADと二面角がどのように変化するか調べてみた.
[1]AB/AD
[2]∠BAD
[3]二面角
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【2】計算結果
凧型24面体(緑),凧型60面体(黄)のグラフを描いてみると,凧型24面体に高度な変形加えたときだけ∠BAD=33.8915のグラフに交点が出現することがわかります.このとき,黄金化凧型24面体の変形パラメータはs=0.791696,t=0.757769で,AB/AD=.859571,二面角=170.864,変形が高度なため凧型24面体の元の形からはかなりかけ離れたものになります.
それに対して,3価の頂点を自由点とした場合,凧型60面体の白銀化は∠BAD=40.7895のグラフに交点が出現しないことから不可能と考えられます.
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